2021/12/01 16:25
しげさん
『イケてる! 農業者さん数珠つなぎ』第5回 ねっこ農園 金子克浩・美佳さん
久しぶりの『イケてる! 農業者さん数珠つなぎ』企画となりますが、決してサボっていたわけではありません! えぇ!サボっていませんとも!
農業企画は私のライフワーク。
今回の第5回からドドン!と続けて4連発で紹介しちゃいます!
さて、その前に我が『しげファーム』はといいますと、モグラに縦横無尽に掘られています…。めっちゃ掘られています。モグラが通った跡はほんとにマンガみたいに地面が盛り上がるんですよ。イノシシみたいに野菜を食べられるとかいう被害はないんですが、根っこを傷つけられると野菜が育たず枯れてしまったり、大根など地面に伸びる野菜は二股に割れてしまったり…。
ネットで撃退方法を調べてみると、ソーラーで充電できてモグラが嫌う音波を出す杭のようなものとか、トウガラシの成分で撃退するスティックみたいなものとかいろいろ売ってるみたいです。これで、自分の畑をぐるりと囲んでしまおうか。
と思うんですが、しかし! ですよ
モグラが自分の畑の中にいるときにこれで囲んでしまったら、逆に外に出ることができなくなって、畑の中で飼ってしまっているような状態になるいんじゃないのか…。今どこにいる! ってわからないから、これってギャンブルですよね…。
だれか、いい撃退方法知っていたら教えてください。
見た目はかわいいんだけどなぁ……。
大地に根を張れ ねっこネギ!
はい、今回紹介するイケてる! 農業者さんは、『ねっこ農園』を経営する金子克浩・美佳さん夫婦。二人が圃場を構える吉野川市は、昭和の名水百選に選定された『江川の湧水』と肥沃な土壌、比較的温暖な気候にも恵まれた農業地帯として野菜を中心に果樹や花きの産地として発展してきた歴史があります。そんな吉野川市で生産品目を青ねぎ一つに絞って勝負している金子さん夫婦。通年栽培する青ねぎのおいしさの秘密やこだわり、二人が考える将来のビジョンについて伺ってきました!
横浜市出身の克浩さんと徳島市出身の美佳さんが出会ったのは東京での大学時代。キャンパスライフ、就職を経て無事ゴールイン! 二人での生活がスタートするわけですが転勤による環境の変化や、仕事で帰りが遅くなる日々が続いたそうです。
そんな毎日の中
「もっと家族と一緒の時間を持ちたい」
「じゃあ、夫婦で起業すればいいじゃない!」
と二人の考えはピッタリと一致! それじゃあ、どんな仕事で起業するかを考えたときに克浩さんから
「農業をしよう」
という誘いがあったそうです。克浩さんの仕事は飲料メーカーのサラリーマン、美佳さんの仕事は旅行会社と、就いた仕事も違えば、お互いの実家も非農家と、農業とは無関係に育った二人ですが、克浩さんのその誘いになんの抵抗もなく「ワクワクした」と美佳さんは笑顔で話してくれました。
就農すると決まれば、次は場所探し!
農業をすると決まれば、次は場所探し。就農フェアなどに参加し、北から南といろいろな候補地を検討し、その中から決めたのが今の吉野川市でした。
美佳さんの故郷である徳島県だったこと、視察で訪れたときのまぶしい太陽と、温かい吉野川市の人たちに魅せられたのだといいます。ちなみに美佳さんは徳島県出身でも実家は徳島市の中心街、かなりの街っ子でした。
移住した吉野川市で二人は農業を学ぶために農業法人に就職します。そこで5年間、農業の知識と経験をしっかり積み、地域の中でも暮らしにもすっかり馴染んだ2017年7月
ついに
自分たちの農園『ねっこ農園』を創業!
屋号の由来は植物の“根っこ”からかと思いきや、発端は克浩さんの学生時代のニックネーム。そのニックネームが最初にあって、野菜がしっかり大地に根を張るようにとの願いも合わせて名付けたそうです。
うん、いい屋号ですね。
ねぎ栽培のこだわり
『ねっこ農園』が栽培する青ねぎはおいしい! 徳島県を含め関西エリアから西日本を中心に好まれるねぎはこの青ねぎの方かと思います。青ねぎは一般的に緑の葉の部分が多い細身ねぎの総称で、その濃い緑の葉と香りが特長です。
私も例にもれず青ねぎ派! なんせ九条ねぎで有名な京都出身ですから。すき焼きも、鍋も基本青ねぎ。くたくたになるまで炊いても、シャキシャキの食感を残してもどっちでも本当においしいですよね。
『ねっこ農園』が栽培している品種は[みやび姫]。
ほかの青ねぎとくらべて耐病性があり、害虫被害にも強い。根張りが良く生育旺盛で肝心な食味はシャキシャキ! 優しい辛さで鮮度の保ちもよいというなかなかに優等生なねぎですよね。
そんな品種としてのポテンシャルが高い[みやび姫]を『ねっこ農園』は種から育苗しています。
葉が一定の長さまで成長すると、丈を刈り揃えます。そうすることによって根が強く丈夫になるそうです。
葉が一定の長さまで成長すると、丈を刈り揃えます。そうすることによって根が強く丈夫になるそうです。
『ねっこ農園』がねぎをよりおいしくするために行っているのが、徹底した土壌づくりと栽培管理。
有機質の高い堆肥と微生物の力を借りて健康な土を作り、長めの耕うん刃で40cm以上深耕します。さらに自ら毎日ねぎの状態を確認し、野菜のえぐみの指標と言われる“硝酸値”を毎日測定・検食。数値だけではなく、生産者自身が口にし、味を確かめて出荷しているからこそ、安全でおいしいねぎを出荷できるんですね。
丁寧に収穫したねぎは、『ねっこ農園』が誇る、プロの“ねぎむき師”が一本一本手作業で検品、調整を行います。
このひと作業が美しくつやつやのねぎを出荷する秘訣。みなさん、圃場での作業もベテランらしく、安心して任せられるスーパースタッフさんたちだそうですよ。
その安全でおいしいねぎを複数の圃場でリレー式に栽培すること、また冬場はビニールハウスを利用するとで、1年を通じて安定した出荷を可能にしています。
ねっこ農園の未来は
金子さん夫婦には、小学校1年生、幼稚園の年中クラス、そして0歳の3人のお子さんがいます。
小学生の長男は機械が大好き。お父さんが農業機械を操縦しているのが誇らしく、学校で友だちに自慢気に話しているとか。将来の夢はコンバインに乗りたいそうなので、長男の夢を叶えるには、金子さんは水稲も始めないといけないですね(笑)
次男も畑にはよく来るということで、「そんなお子さんたちがいて、『ねっこ農園』は安泰ですね」と思いきや、必ずしも『ねっこ農園』を継いでほしいとは思っていないそうです。
それは自分たちの代で終わらせるということではなく、やりたいと思ってくれた人に継承し、未来永劫『ねっこ農園』を残すことが二人の夢。
「やりたいと手を挙げてくれるのが、子どもたちであればもちろんうれしいけれど押しつけるつもりはないです。ただ、畑で働く姿を見て夫婦で楽しそうにしているなぁ思ってもらえたらいいですね!」と答えてくれました。
うん、今回『ねっこ農園』を取材して子どもたちが、おいしいねぎを作っているビジョンが見えた気がしました。
大地に根を張れ ねっこキッズ!
ねっこ農園
徳島県吉野川市鴨島町牛島1166-1
TEL.0883-38-9146