2026/05/12 10:30
がんも
【インタビュー/児童文学作家・くすのきしげのりさん&絵本作家・こがめたくさん】徳島出身どうしの共作『あの、ここ どうぞ。』トークショー開催レポ原画展は5/17まで!
2026年4月26日(日)に美馬市立図書館で行われた、児童文学作家・くすのきしげのりさんと絵本作家・こがめたくさんによる「読み聞かせ&ふたりのトークショー」へ行ってきました!
実は同じ高校の先輩後輩の関係だというくすのきさんとこがめさん。そんな二人がタッグを組んで生まれたのが、絵本『あの、ここ どうぞ。』(偕成社)です。
▲イベント前日、母校である城北高校を訪れたというお二人。在学中は面識がなかったそうですが、こがめさんはくすのきさんを「先輩」と呼んでいるのだそう。
| くすのきしげのり さん(写真右) 児童文学作家。鳴門市在住。200作品以上を手がけ、その著書は国内外で幅広く読まれている。絵本『おこだでませんように』(小学館)と『メガネをかけたら』(小学館)は「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書に選出(2009年・2013年)。小学1年生から中学3年生まで、全学年の教科書にも作品が採用されている。主な著書に『あなたの一日が世界を変える』(PHP研究所)、『Life』(瑞雲舎)、『わたしがはやくねるわけはね……』(小学館)など。 こがめたく さん(写真左) グラフィックデザイナー・絵本作家。徳島県出身。美大卒業後、アートディレクターとして広告の企画・制作に長年携わる。2021年、「アイデアとデザインで人と環境の役に立つ」を理念に事務所IE(イエ)を設立。江戸風鈴に地球の絵を描いて地球温暖化を考える「地球鈴ワークショップ」を各地で開催するなど、デザインを通じた社会活動にも積極的に取り組む。主な絵本に『じーさんとぴーぽっぽ』(みらいパブリッシング)、『なつのうた』(ひだまり舎)、『まごはやさしい』(おむすび舎)など。 |
▲トークショーの様子。
▲トークショー後には、サイン会を開催。参加者一人ひとりに丁寧に対応していたお二人が印象的でした。
トークショーでは作品の読み聞かせをはじめ、制作の裏話をたっぷり聞くことができました。イベント終了後、『あの、ここ どうぞ。』制作についてのさらなるエピソードをうかがいました。
■くすのきしげのりさん&こがめたくさんにインタビュー
――作品『あの、ここ どうぞ。』の共作について、タッグを組むことになったきっかけは?
【こがめさん】
ある日、くすのき先輩から電話がかかってきて「いまこういう絵本を作ろうとしているんだけど、絵を描くチャレンジをしてみないかい」という連絡がありました。その時点で僕は小鳥やセミがテーマの4冊の本を出版したに過ぎなくて。今回、人間がめちゃくちゃいっぱい出てくる作品だったので(笑)、大きな挑戦だったんですが「もちろん、やります」と。
【くすのきさん】
僕自身、49歳の時退職して「作家として活動しよう」とチャレンジしたんですよね。その道のりの厳しさもよく分かっていますから、こがめさんを応援したいと思ったんですよ。そしてこの作品にはこがめさんの絵が一番合うと考えて、お願いすることになったんです。
休みの日、女の子はお父さんと電車にのって図書館に出かけます。 電車では、いろんな人が立ったりすわったり、乗ったり降りたりしています。 女の子は必要としている人に席をゆずろうとしますが、タイミングが悪かったり、勇気が出なかったりと、なかなかうまくゆずれません。 そんななか、ひとりのおばあさんが乗ってきました。 女の子は勇気をだして声をかけますが……。
「席をゆずりたい…でも声を出すのは恥ずかしいし…」という、みんなが持っている気持ちを、ひとりの少女をとおしてえがきます。
――作品には、どんなメッセージが込められているのでしょうか?
【くすのきさん】
この作品はね、編集者の方とお話をしてる時に「電車で席を譲ろうとしてためらってしまう…こういう場面ってあるよな」という話題になって、そこから生まれたんですよ。人との関係が希薄になったり、遠慮がちになったりする場面があっても “良いこと”は進んでできたらいいなと思うし、してもらうのも良いもんだな、と。そういう風に思える社会だったらいいなと思って作ったんです。
――「しんせつにしてもらったのは、やさしくしてもらったのは わたしのほうなのかな?」という一文が印象的でした。
【くすのきさん】
僕も同じ体験があったんですよ。電車でおばあさんに席をゆずろうとして「いいです」って言われたんやけど、結局座ってもらって…そして次の駅で降りて、1分も座ってなかったんじゃないかなぁ。僕はその時「優しくされたのは僕の方なんやな」と思ったんです。
――可愛らしさと美しさが特徴的な、水彩の絵も本当にすてきです。
【こがめさん】
今回、くすのき先輩から「水彩でいこうか」という提案があり、最初はプレッシャーを感じました。趣味として風景を水彩画で描くことはありましたが、絵本では初めてでしたから。最終的なタッチはすごく悩んで、いろいろエスキース(下絵)を描いていました。
▲原画展での一枚。約10駅ほどの移動のなかで、女の子が成長する過程を表情で表したというこがめさん。女の子の晴れ渡る表情と澄み渡る色彩の原画は感動的でした。
ある時、編集者さんからアメリカのある作家さんの絵を紹介され、それを見たときビビッときたんですよ。鉛筆の線に水彩で色を乗せたような作風で… …同じようには描けないんだけど、その世界観がしっくりきて「これならいけるかも」と思いました。
――展示の中には、電車内の細かいデッサンや、つり革のサイズを書き記した資料、車両の進行方向や乗客の位置関係を緻密に設計した図などがありましたが、こがめさん自身が作成したものなんですか?
【こがめさん】
はい、もちろんすべて自分でつくりました。電車に乗る回数を増やして、人間観察しながらデッサンをするところからスタートしましたね。人が少ない始発の電車にメジャーを持ち込み、つり革や窓のサイズも測りました。車両の図解については、作画を進めるうちに「あれ?これって今どっちに進んでいるんだっけ? この人はどこに座っていたっけ?」と混乱してきて。土台がしっかりしていないと、物語が変になってしまうと思い、なるべく詳しく作りこみました。
【くすのきさん】
文章でも同じですが、この物語はすべてフィクションなんですね。でも、ありそうな出来事や設定を作りこんだ、“根も葉もあるフィクション”でなければならないんです。そうすれば、読者はその世界に違和感なく入っていけるんです。
――ファンのみなさんへ、そして、これから作品を手に取る人たちへメッセージをお願いします。
【くすのきさん】
作品のテーマでもある「良いことをするのを遠慮しないでほしい」ということですね。困っている人がいるとき、「どうにかしてあげたいな」と思うだけでもすごく良いことだなと感じます。そんな社会であってほしいですね。
【こがめさん】
この作品には、主人公の女の子やお父さん以外にも、とってもたくさんの人が出てくるので、「自分はどこにいるかな」という目線で楽しんでもらうのもいいかな、と思います。
お二人の温かい言葉のなかに、作品への熱い思いがあふれていました。ともに徳島出身で高校の先輩・後輩としてつながる、くすのきさんとこがめさんの共同作品『あの、ここ どうぞ。』は全国の書店にて発売中! ぜひ手に取ってみてくださいね。
▲同日の午前中、こがめたくさんによる「地球鈴ワークショップ」が開催されました。
☆絵本原画展は5/17(日)まで☆
▲美馬市立図書館 エントランス・板間のハコにて開催中。








