2021/04/16 13:36
しげさん
徳島県産食材の魅力再発見!
徳島県は食材王国と言われるほど、野菜も魚も肉もすべてが豊富。
とは言うものの実際のところ、県外の人がどれぐらい認識していて、どれくらい他府県の食材と勝負できるのでしょう?
身近にあって当たり前のように思っていることでも、見る目を変えれば実はめっちゃすごかったってことよくありますよね。
まぁ、私自身は移住者なんで若干は「県外目線で食材を見ているぞ」と思う反面、移住して3年、だいぶ地元目線でも見ているのかな…。と思ってみたり。
そんなことが気になっていたところに、徳島県のジビエ『阿波地美栄』のお仕事をお願いして以来、徳島県産食材を自身のお店で使ってくれている凄腕シェフから連絡がありました。
身体が喜ぶイタリアン LUDENS
そのシェフとは京都の薬膳イタリア料理店『LUDENS』のオーナーシェフ田淵章仁さん。
お店のコンセプトは“食材と人を繋ぐ遊び”
そのコンセプトのように、食材もそのエリアの食材どうしを繋ぎよりおいしく、生産者の食材に込められた想いを料理を食べた人に繋ぐ。そんなお店で旬の食材を取り入れ、新鮮なお肉、お魚、ジビエを薬膳とイタリアンの手法によって身体が喜ぶ料理を提供してくれます。
お店の看板メニューの『薬膳スープ』は口に含んだ瞬間から「絶対身体にいいやつやん!」って直感します。染み渡る~。
プロフィール
インテリアデザイナーを志し勉強する中、怪我をきっかけに食事を通して、身体に良い食事や料理に深く興味を持つようになる。
元々物をつくることが好きだったこともあり、料理の修業を開始。イタリア、ドイツ、フランス料理店と、様々なレストランにて腕を磨く。
2009年自身の店【Clementia】をオープンしたくさんの人に愛されるお店に発展。2017年【LUDENS】として新たにスタート。現在に至る。
書道準師範中等下、国際薬膳食育師
2014年、2015年ミシュランビブグルマン掲載
LUDENSホームページより
食材とその料理法にとんでもないこだわりを持っているシェフだから、コチラが紹介するのもとんでもなく栽培方法や製法にこだわっている生産者さんをぶつけるしかない!
これはもう、どれだけシェフを驚かせることができるかの勝負ですよ!
ということで、2日間でシェフのリクエストも含めて、もともと熱いけれどこれからもっと注目が集まるんじゃないかって生産者さんを紹介していきます!
魚醤 山仁産業さん
徳島県は水産物も豊富で中でも鳴門の鯛やわかめ、京都の夏の風物詩を支えるハモ(なんか京都の夏といえばハモおとし)、ブランド魚のすだち鰤などが有名ですよね。
阿波地美栄料理講習会に先駆けて食材探しで北灘漁協さんにお世話になり、すだち鰤を食材に決定することになりました。
そのときに『北灘さかな市』で購入した魚醤に衝撃を受け、レストランでの使用などを含め、ぜひ生産者さんと会ってみたいとのことでした。
そんなシェフも惚れ込む鳴門産魚醤を製造販売しているのが、コチラの山仁産業さん。開発者でもある松下享平さんにお話をお聞きしました。
プロフィール
海外留学や商社勤務時代にアジアをめぐった経験から食や味覚の多様性に関心をもつ。
家業である山仁産業就職後も、鳴門産水産物の全国への発信するため、テレビなど各種メディアにも登場。
製品開発にも積極的で、日本人の味覚に合う、鯛、鱧、タチウオの魚醤をはじめ、多くの商品を世に送り出した。社内に自分専用の開発室を持ち、日夜新製品開発の勤しんでいる。
山仁産業さんは鯛しゃぶや、一夜干しなどを製造されていて、『月曜から夜更かし』や『よ~いドン!』でも紹介されています。
また、最近では鯛や鱧魚醤を使った味付海苔も販売中!実はうちの子どもたち、この味付海苔が大好きです。
さて、そんな山仁産業さんの商品の中でシェフに響いた鯛や鱧の魚醤、いったいどのようなものなんでしょうか?
一般的に魚醤として頭に浮かぶタイの調味料『ナンプラー』との違いは?
鯛、鱧、タチウオの魚醤
味見をさせてもらったところ、まず最初に感じたのは圧倒的な旨み!
ナンプラーは生臭くて苦手という方もいるかもしれませんが、この魚醤、生臭さなど皆無です。あるのは、旨み!
カキ醤油やオイスターソースで調理するメニューにこの魚醤を使えば、圧倒的に上位互換した料理が完成すること間違いなしです。
素材となる魚丸ごとの旨みをさらに引き立てているのは、米麴。だから日本人の味覚にもぴったり合っているのでしょう。
小麦粉不使用、さらに無添加なので、小麦アレルギーの人にも安心ですね!
オリジナルブランド開発期待しています!
天恵菇 高野きのこプラントさん
高野きのこプラントさんについては、以前の日刊あわわで紹介させていただきました。
徳島県の菌床栽培を語るうえで外すことはできません。なんせ、徳島のブランドしいたけの誕生の地ですから。生産農家さんではなく主は菌床の栽培と開発を行われています。
グッドデザインも受賞しているしいたけ『天恵菇』
素人考えでしたが、美味しい天恵菇、さらに驚くほどいい出汁がでる干し天恵菇が看板メニューの薬膳スープに合うんじゃないかと思い、マッチングしました。
ちょうど、数日前に京都の一流ホテルのレストランでも天恵菇がメニューに使われることも決定したそうです。京都に天恵菇旋風が吹く日も近いかもしれませんね!
菌床プラントを見学させてもらったり ※きのこ派Tシャツほしい…。
栽培プラントを見学させてもらったり
これこれ、まさに天恵菇。この肉厚の傘のうま味、歯触りはまさに、お肉やアワビみたい。シェフの腕にかかってどのような料理になるのか楽しみです。
京都でも今以上に天恵菇旋風が吹き荒れることを願って
阿波晩茶 高木農園さん
徳島を代表するお茶といえば、阿波晩茶。茶葉を乳酸発酵させるその独特な製法による爽やかな酸味が特徴です。近年の健康食ブームや、発酵食ブームにより注目を集めています。
あいにくの雨模様でしたが、里山の自然の壮大さが伝わるでしょうか…。
ちょうど新芽が芽吹いてました。阿波晩茶の茶の木は自生しているのだそうです。すごい!
そんな阿波晩茶を生産されている農家さんの中で今回訪問させていただいたところが、高木農園、高木宏茂さん。
プロフィール
生まれ育ったのは徳島市内。農業研修をきっかけに上勝で1年間生活し阿波晩茶と出会う。
作業の休憩時間に出してくれたのが温かい阿波晩茶。第一印象は「不思議な味のお茶やなぁ」程度のものだったそう。
お手伝いをしていた晩茶農家で茶摘みから加工まで、阿波晩茶の作り方をすべて教わるうちに
「いつかこの人に恩返ししたい」
「この人と同じ仕事をしてみたい」
という気持ちが生まれそれ以来、阿波晩茶に夢中。
上勝町で初めて、移住して新規就農した晩茶農家。
はい、スーツ姿です。今回の訪問、取材にスーツでビシッ! と決めて挑んでくれたのか!? と思いきや違いました。
なんとこの度、阿波晩茶が国の重要無形民俗文化財に指定されまして、その証書を役場まで取りにいかれたあとだったので、スーツ姿とのことでした。何はともあれ、おめでとうございます! という気持ちだったんですが、高木さんの「絶滅危惧種に指定されたみたいなもんです」とおっしゃった言葉が胸に刺さりました…。
さて、実は田淵シェフと高木さんは一昨年にあわわでご紹介させていただいて以降のお知り合い。
田淵シェフが阿波地美栄の料理講習会で鹿肉を使った『鹿肉の阿波晩茶焼き』というメニューを考案されまして、そのとき使用したのが高木農園の阿波晩茶。
ローストされた鹿肉の表面の焼き色、切ったとき食欲をそそる鮮やかな肉色。阿波晩茶で燻煙された香ばしい薫り…。肉の旨みと赤ワインとバルサミコソースが織りなす魅惑のハーモニー。
あぁ思い出しただけで垂涎…。涎のダムが決壊しそうです。
鹿肉の阿波晩茶焼き
今回、田淵シェフが高木さんのところに訪れた理由は、現在開発中のレストランオリジナル商品である『コーディアル』に阿波晩茶を使った商品をラインナップに加えるため!
すでにサンプルを作成されて持参されていました。
はい、『コーディアル』ですよ。
そうそう、アレアレ!
………。
すいません、知りませんでした。コーディアル。
訪問目的を電話で聞いたときにさらっと「オリジナルのコーディアルを作りたくて~」とシェフ。
知らない人のためにコーディアルとは…。
コーディアル(英語: cordial)は、身体を活気づけ、刺激する効果(滋養強壮作用)のある食品、主にアルコール飲料のこと。 心臓に良いとされた様々な飲み物を混ぜ合わせたものが、古くは医薬品として使用されたことに由来する(cordialは「心からの」という意味の形容詞である)。 コーディアルの中には、多くの錬金術師が太陽の光の"cordial vertues"を含んでいるとしていた明るい黄色い色合いを持ち(ロソーリオ、イタリア語で「太陽のしずく」の意)、金箔のフレークが入っているものがある。
もう一つのコーディアル イギリスとオーストラリアでは、コーディアルはハーブやフルーツを漬け込んだ極めて甘い(たいていは完全に人工的な)濃縮されたノンアルコール飲料を指し、水でうすめて味わう。コーディアルは胃の不調に効果があるともいわれる。スカッシュも時にはコーディアルと呼ばれる。 甘い飲み物として子供が飲むことが多く、それ故に児童文学作品にも薬用酒と混同される形で登場することがある。『赤毛のアン』のいちご水 (raspberry cordial) や、『ライオンと魔女』に登場する薬酒などもコーディアルである。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
今回開発されているのは、後半の方。甘いノンアルコールの方でした。
阿波晩茶のものをはじめ、ローズなど全4種類開発中とのこと。阿波晩茶のものを試飲させてもらいましたが、甘みのなかにしっかり阿波晩茶の風味とその他ハーブの香りも相まってリラックス効果抜群! 夜寝る前に飲むと良いってのも納得です。
こちらの開発状況も追っていきたいと思っていますので、続報ご期待ください。
コーディアル商品化成功と、またの再会を約束して
いかがでしたでしょうか? 今回紹介させていただきました、県産食材。水産物も、菌床しいたけも、阿波晩茶も確かにすでにメジャーではありますが、生産者さん、加工業者さんの想い、そしてそれを使用する料理人の想いが合わさったときに一気に熱く、加速するんだと感じました。
それらの熱い想いの詰まった料理を食べた人が、生産者さんや加工業者さんに想いを馳せて、生産地に赴くとか、もっと言えば移住しちゃうとか! そんな感じで繋がり、関係人口が増えればいいなぁ。
ちなみに今回の食材で私は…
天恵菇を丸ごとグリルで焼き、アツアツにバターをのっけて、そこに鯛魚醤をひとかけ。
食後は温かい阿波晩茶と至福の時間を過ごしております。