2020/12/10 11:24
しげさん
『イケてる! 農業者さん数珠つなぎ』第4回 農事組合法人こくふ 勝間健二さん
昨年は手塩にかけた聖護院だいこんをイノシシに襲撃され、心が折れてしばらく畑から足が遠のいたしげですが、無事復活し、今年も聖護院だいこんをはじめ秋冬野菜の栽培にいそしんでおります。
今年はイノシシ被害は出ておらず、ホッとしたつかの間、出ましたよ、新たな獣害被害。それは…。
もぐら!!
もぐらの通った跡ってマンガみたいにホントに盛り上がるんですよ…。
イノシシほど実害はないんですが、通り道にされるとだいこんなどの根菜系がまっすぐ伸びず又割れになるとか…。あと、その穴を野ネズミが通って作物を食べることがあるとか。モグラの穴を野ネズミが通るなんてもう絵本の世界ですね。
新米! うまい! うまい!
さて、そんなわけで、今回紹介するイケてる! 農業者さんは、『農事組合法人こくふ』の代表、勝間健二さん(70)です。勝間さんは有機と減農薬に取り組みそれは、おいしい特別栽培米を生産しています。
有機栽培=オーガニック=無農薬?
そもそも、有機栽培とオーガニックと無農薬の定義がごっちゃになっている人いませんか? 基本的にどれも健康によくて安全でおいしそう! ってイメージありますよね。では、ひも解いてみましょう。
有機栽培とオーガニックは基本的に同じ定義です。
オーガニックとは『有機体』との意味で、生物だけが作り出せる化合物のこと。一般的には農薬や化学肥料を使わず、有機肥料を用いて栽培された農産物を指すと言われています。
当初は有機肥料を用いた農産物を“オーガニック”とも呼んでいたのが、化学肥料や、天然由来でない殺虫剤などの農薬を使用しない農産物も含めて“オーガニック”と呼ぶようになったようです。なんとなく、後者の方が一般的に“オーガニック”のイメージですよね。
オーガニック=農薬不使用ではない
前述した、一般の人が持っている認識からすると、不思議に感じるかもしれませんが、もともとのオーガニックは有機肥料を用いた農産物なので、栽培自体には、農薬の使用は認められています。オーガニックの観点からすれば、化学合成された殺虫剤や、殺菌剤の使用はダメですが、天然由来の成分の農薬の使用は認められているんです。なので、「オーガニックだから農薬不使用なんでしょ?」と単純にはいかないんですね。
これらの基礎情報を読んでいただくと、『農事組合法人こくふ』の取り組みや“特別栽培米”のことがわかりやすくなると思います!
『農事組合法人 こくふ』について
もともと兼業農業を営まれていた勝間さんが退職を機に2015設立されました。徳島県ではまだ珍しい、都市近郊型集落営農です。都市部でも深刻な耕作放棄地の問題解消を目指し59戸が出資しています。今では、16.5町の耕作地で稲作、野菜などを有機を中心に栽培されています。
キャッチコピーは
「みんなの力で 守る育てる こくふの農地」
そんな『農事組合法人こくふ』の勝間さんのことを知るきっかけにとなったのは、取材で伺ったお店のおにぎりがめっちゃ美味しかったから!!!
炊き方がじょうずなことももちろんありますが、その香り、その艶、ただものではない…。そして一口頬張ったときの広がる甘みともちもちの食感!
「なんだ! これは!?」
と、衝撃を受けました。お店のオーナーさんにどこのお米なのかと聞いたところ教えていただいたのが、徳島県産で『農事組合法人こくふ』が作っているレンゲ米(ミルキークイーン)とのことでした。
そのおにぎりはコチラ!
白米と玄米が選べます。徳島の県産食材、阿波ふうどメニューが食べられるキャンペーン参加店でもありますので、ぜひ足を運んでみてください。
そんなわけで、「ぜひ取材したいので紹介してください!」とお願いしたところ快諾いただき実現しました。
その時にオーナーさんの話にあがったキーワードが“特別栽培米”
何なんだ!? それは。皇室に献上する米とか?一気に知りたい欲求が高まりました。
特別栽培米、それは安全・安心のお米
話はもとに戻りますが、なぜ無農薬野菜と表記してはいけないのか?
理由は、オーガニックでも天然由来の農薬を使用してもいいように、消費者に誤解を与えたり、定義が曖昧でわかりにくいとの観点から、農水省が「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」を定めたからです。
これによると、『「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」の語は、消費者に優良誤認を招く可能性があるため、原則的に表示が禁止。』とあります。そこで、登場するのが、“特別栽培農産物”という呼称なんですね。勝間さんが栽培されている“特別栽培米”ももちろんこの“特別栽培農産物”です。
その定義は以下のようになっています。
『その農産物が栽培された地域の慣行レベルに比べて、対象農薬の使用が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下であること』
ようするに、いくら個人が無農薬、完全有機栽培で生産しても、まわりで他の生産者さんが化学肥料や化学農薬を使っていると、農薬の飛散や、用水に肥料の窒素分や農薬が混じってしまうことがあるから地域の慣行レベルを基準としてどれくらい減らせているかということが重要となります。いかに本当の意味での有機無農薬栽培が難しいかわかりますね。
そして、勝間さんの栽培する“特別栽培米”のレンゲ米(ミルキークイーン)はというと、地域の慣行レベルに比べて
農薬70%カット!
化学肥料60%カット!
肥料は50%有機由来!
※耕作前にレンゲを撒き、土にすき込むことで堆肥化しています。レンゲ米の名前の由来ですね!
化学肥料による窒素過多も防ぐことで嫌なえぐみもなく、甘くておいしいお米ができるわけです。
ちなみに、勝間さんのレンゲ米は令和2年度にお米のおいしさの指標である食味値判定で85点以上~90点のAランクを獲得しています!
農業界では「低アミロース米の代表格」と言われるそうです。
何だ、それは?
水稲はまだまだ知らない用語や知識がいっぱいあって楽しすぎるます。
低アミロース米とは…
お米に含まれているアミロースが少ないお米(それはなんとなく名前でわかる)
アミロースが多いお米はパサパサ系、逆にアミノペクチンが多いお米はもちもち系と言われるそうです。その中間にあるのが、この低アミロース米。つまり、絶妙のもちもち感と炊飯してもべちゃべちゃにはならず、お米の粒がしっかり残るお米。それが低アミロース米、『ミルキークイーン』なのだ!!
さらに、さらに!
程よい粘り気が保湿効果を高め、冷めてもおいしいからおにぎりやお弁当にもピッタリ!
お米マイスターのような知識がなくても日頃食べているお米にブレンドするだけで不足している食味が補われて、おいしくなっちゃう!
なに? この万能選手感! 勉強もスポーツもできて、イケメンで優しい人みたい(笑)
国府の農産物がおいしい理由
『農事組合法人こくふ』の勝間さんの農産物をはじめ、国府の農産物がおいしいのは生産者さんの努力はもちろんですが、そこにはこんな秘密がありました! 勝間さんに案内していただいたここ、これがおいしさの秘密!
以西用水! この用水のきれいな水が国府エリアの農業用水として使われています。やっぱりおいしい農産物を作るには、いい土といい水が大事ですね。
歴史を伝える石碑も
そして祠も…。狸のほこらではないようです
透明度がすごい! 魚もたくさん泳いでました
さぁ次は、どの生産者さんのところに行こうかなー!
農事組合法人 こくふ
徳島市国府町延命293-1
TEL.090-2784-1600