2026/09/17 09:00
あわわ編集部
【2026】徳島の病院・医療機関ガイド 医療トピックス/認知症/桜木病院―あわわ2026年9月20日号Karadan―
理解することからはじまる 認知症について
将来的に5人に1人がなると言われている「認知症」。単なるもの忘れとは異なり、本人の意思や生活に大きな影響を及ぼします。
発症のメカニズムや治療方法について、専門の先生にお聞きしました。
教えてくれるのは…
櫻木 章司 理事長
● 日本精神科病院協会徳島県支部長
―認知症とは?
単なる加齢による物忘れとは異なり、記憶障害に加えて理解力や判断力、言語能力、実行機能など認知機能全般が低下する状態です。朝食の内容を忘れても食べた認識があるのは物忘れですが、「食べていない」と主張したり誤った判断に結びつくのが認知症の特徴です。なお、記憶障害のみで日常生活動作(ADL)が保たれている状態はMC(I 軽度認知障害)と呼ばれ、認知症の一歩手前として明確に区別されます。
―どんな症状が起こる?
認知症の症状は「中核症状」と「BPSD(行動・心理症状)」の2つに大別されます。中核症状は脳の障害により誰にでも起こり得るもので、単なる物忘れを超えた新しいことが覚えられない記憶障害(記名障害)をはじめ、理解力や判断力の低下、言葉が出ない失語、道具をうまく使えない実行機能障害などがあります。一方のBPSDは、本人の性格や人間関係、生活環境などが影響して現れる症状です。記憶障害や判断力低下に伴って起こる「もの取られ妄想」をはじめ、あてもなく歩き回る徘徊、感情の起伏、現実には見えないものが見える幻視やつきまとい行為など、多様な行動・心理の変化がみられます。
―なぜ認知症は起こるのか?
認知症が発症する原因は、「神経変性性」と「血管性」の2つに分けられます。神経変性性は、アルツハイマー病やレビー小体型などに代表され、脳の神経細胞が壊れて減少・萎縮していく病態です。一方の血管性は、脳梗塞や脳出血により特定の脳組織へ血流が行き届かなくなることで、記憶を司る海馬や言語中枢が障害されて発症します。遺伝による発症はごく稀であり、それよりも高血圧・糖尿病・不整脈といった基礎疾患、偏った栄養、過度の飲酒、喫煙、睡眠不足といった生活習慣の乱れが深く関係しています。また、社会的孤立や難聴なども発症・進行のリスク要因として挙げられます。
―治療方法は?
根本的に完治させる薬はまだないものの、進行を遅らせる治療を行います。薬物療法としては記憶や学習に関係する神経伝達物質・アセチルコリンが分解されて減らないようにする薬など4種類の保険適用薬に加え、脳内の病因物質を除去する最新の「抗アミロイドβ抗体療法」が登場していますが、いずれも早期段階からの投与が重要とされています。薬物療法以外でも、軽い有酸素運動やビタミンB群を含むバランスの良い食事、十分な睡眠も有効です。さらに、会話を通して人とコミュニケーションや難聴の改善など、日常的に脳へ刺激を与えながら社会的孤立を防ぐ取り組みが効果的です。
―認知症の患者さん、その家族へ
認知症はだれでも発症する可能性があり、「自分が自分でなくなる」という恐れから現実を受け入れにくい病気です。しかし、早期発見できれば利用できる治療の選択肢やサポート体制が広がります。大切なのは本人の意思を尊重し、自分で今後の過ごし方を決めていくことです。そのためには本人や家族だけで抱え込まず、認知症疾患医療センターや地域包括支援センターといった行政・医療の初期対応チームとつながることが必要です。少しでも普段と違う違和感を覚えたら、怖がらずに早めに専門機関へ相談しましょう。
医療法人桜樹会 桜木病院
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※掲載している情報は2026年9月8日時点のものです。










