2020/05/17 11:31
あわわ編集部
《まとめ》古建築好き必見!築60年以上の建物を生かしたレトロなお店7選【後編】
〝古い建物を使ったお店〞といえばカフェをイメージする人が多いかもしれません。
しかし!
バーやラーメン屋さんといった、それ以外の店も近年ぐっと増えてきたんですよ。
今回は築60年以上の建物を生かしたお店を、お店の改修や店づくり秘話と共に紹介♪
そのレトロな雰囲気を味わいに、ちょっと遠くまで出かけてみませんか?
レトロなお店7選【前編は】コチラ
こんまい屋/名西郡神山町
築およそ60年/昭和中期
清流のせせらぎに耳を傾け苔庭を眺めるひととき
飲食店が続々オープンしてにぎわう神山町。店が集まるエリアから車で約20分ほど西へ、自然あふれる地域にあらわれる小さな古民家。
▲苔庭は800円程度~。手入れをきちんとしている人は3年以上長持ちしているそうだ。
中にはオーナーの女性2人が手がけた手のひらサイズの苔庭がズラリ。一枚板のカウンターや格子窓などは元からあり、簡単な手直しをしてほぼそのまま使っているそう。
「昔は倉庫だったようですが、一年間だけうどん屋だったこともあったそう。このカウンターはその時の名残かも」。
▲二階に続く階段は後から付けたもの。苔庭のほか、藍染小物や小さな木工品を販売している。
所々にある味わい深い古い道具は、店前にあった木製の作業台などをはじめほとんどが残されていたもの。苔庭や手作りの雑貨と組み合わさって、ユニークな存在感を放っています。
▲築60年以上になる建物は倉庫だったとは思えないほど。うどん屋時代の名残か、樽モチーフの看板あり。
建物自体も気に入ったそうですが、何より気に入ったのは周辺の環境。すぐそばに美しい川が流れ、緑が豊かで、空気が澄んでいて、苔庭作りにも集中できる場所なのだそう。
《データ》
こんまい屋
Tel.なし
名西郡神山町上分中津239-1
営/Facebookで確認
P/ 有
●カード不可
Facebook
和み工房 しげぱん/阿南市
築およそ60年/昭和中期
和やかな空気の漂う空間笑顔をつなぐパン工房
▲土手沿いの田舎風景に合うかわいらしいのぼりと、個性あふれる看板がお出迎え。
太陽と小麦が描かれた看板が目印の『しげぱん』は、おとぎ話に出てくるようなたたずまい。営むのは8年前に関東から家族で移住してきた和田さん夫婦。
▲パン作り担当の重尚さん。「毎朝、生地と会話しながらパンを作ります」。
夫の重尚さんは徳島市内のパン屋さんで修行を積み、夢だった〝夫婦のパン屋さん〞をオープン。重尚さんが友人らと共にリノベーションして、作り上げた場所だそう。
木枠の窓や畳の座敷など和の装いが懐かしさを醸し出す同店には、ハード系から柔らかな菓子パンまでズラリと並んでいますが、どれも素朴で丁寧。
「食べると心がホッとするようなパンを心がけて作っています。実際ここで店を始めてみると、この木造ならではの温かみとパンがなじんでいるように感じます」と和田さん。
ご夫婦の人柄やパンからあふれ出している和やかな空気が店内を包みます。ご近所さんが足繁く通うのもうなずける空間ですよ。
《データ》
和み工房 しげぱん
Tel.0884-25-0388
阿南市吉井町地神南6-2
営/10:00~18:00
休/日・月・木曜
P/ 1台
●カード不可
ホームページ
阿波尾鶏中華そば藍庵(あいあん)/海部郡美波町
築およそ90年/昭和初期
和の建築になじむ藍の色並ぶ価値ある自慢の一杯
▲窓が大きく、店内には自然光がたっぷりと。道行くご近所さんが千代田さんに手を振ってくれる。
始まりはオーナーの松田さんが東京で営む『morris(モリス)』で出会った、美波町出身のお客さん。お客さんから友人となり、松田さんが初めて美波町へ遊びに来たのは5年前。
▲『藍庵』の名の通り、古民家だった様子が残る外観と藍色ののれんや看板が目印。
そこから毎年阿波おどりや日和佐の秋祭りに参加するようになり、さらには大晦日から正月三が日までの期間限定ラーメン店に挑戦。3年連続で大好評となり、2018年の8月実店舗を構えることに。
▲阿波尾鶏の鶏ガラベースのスープが美しい。すっきりしたしょうゆ味で、さらりと食べられる。
3世代で楽しめるようにと工夫を凝らしたラーメンは、徳島ラーメンとは真逆のすっきり系。
築90年ほどの古民家で長い間空き家だったため、損傷が激しい箇所もあったこの建物。町が基盤を補修し、神奈川大学の建築科の学生たちが主体となって設計や店内の改装に携わったそう。
▲店内奥の天井は約90 年前の姿そのまま。所々にある傷が渋みを出している。
店内の奥にあるテーブル席のスペースに残っている傷だらけの柱や天井が、その長い年月を静かに物語っています。
《データ》
阿波尾鶏中華そば 藍庵(あいあん)
Tel.0884-70-1590
海部郡美波町奥河内字寺前229-1
営/11:00~15:00
休/月曜(祝日の場合は営業)
●席/16席
●P/4台
●カード不可
ホームページ
Facebook
魚屋文具店/名西郡神山町
築およそ60年/昭和中期
「かいらしい!」と表現したい町の日常に寄り添う店
「神山町に文具店がない。なら作っちゃおう!」とのことで、関東から移住した店主の小田さんが住居である古民家の1階を店に。そして、実用的な道具からファンシーな雑貨までを取りそろえる、親しみやすい文具屋さんが出来上がったのだそう。
▲豆は常時6種類程度。右から左へと深煎りになり、豆の個性を引き出すように焙煎している。
オリジナル商品もスタートし、すだちをモチーフとしたマスキングテープ、一筆箋などが登場。今ではこれらが一番の売れ筋に。
▲かつてはこのスペースに新鮮な魚介類が並ぶショーケースがあったと思うと感慨深い。
このかわいらしい店が魚屋さんだったなんて考えにくいですが、水はけを考えて床はコンクリート、換気扇は2つ備えているなどとよくよく探すと昔の片鱗あり。小田さんも魚屋さんだったことをおもしろいと感じて店名にまで付けてしまったそう。
▲クジラ型の木の看板は、宮大工のおじさんが作ってプレゼントしてくれたもの。
文具店の前の道は通学路でもあるため、「たまに学生がここで寄り道していくんですよ。それも楽しい」と話す小田さんでした♪
《データ》
魚屋文具店
Tel.なし
名西郡神山町神領西上角354-3
営/SNSで確認
P/有
●カード不可
Facebook
Instagram
※この記事は、2020年GEEN4月号で掲載した内容です。