2020/05/01 10:55
あわわ編集部
《まとめ》古くて新しいときめき空間!古民家の新店5店
最近古民家の良さを引き出しつつ、今風にリノベーションするお店が増えています。
イメージとしては”めちゃくちゃオシャレにしたおばあちゃんち”(笑)。
懐かしさを感じてゆっくり寛げるけど、しっかり特別感を味わえるんですよね。
そんないいとこ取りの空間にときめく方も多いのではないでしょうか?
昨年春から今年にかけてオープンした、古いけど新しい店を紹介します♪
ボタニカルショップ&ステイ THEKANEYA(カネヤ)/徳島市
築130年/明治23年の古民家
建物とともに名前も受け継いでゆく
徳島市と神山町を結ぶ県道沿いに、立派なケヤキの大黒柱に支えられた築130年になる建物があります。10年前から空き家となっていたこの場所は、地域で長い間親しまれていた日用品や野菜などを売る商店でした。
▲緑が鮮やかな店内には、観葉植物やガーデニング雑貨、器などが並ぶ。洗練されたデザインのガーデニング作業着など、ほかではなかなかお目にかかれない商品も多い。
閉店を機に壊される日を待つだけかと思われた古民家でしたが、1月末、地元の造園会社『アイムスタイル』によって息を吹き返しました。「子どものころ、アイスやジュースを買いに行っていた、思い出深い場所です」とは同社社長の前田さん。
▲店内奥の宿泊スペース。
美しい梁や前述の柱、美しい細工が施されたガラス戸などを残しながら、ガーデニング雑貨などを販売するボタニカルショップへと変貌を遂げたのでした。
▲可愛らしい花の向こうには、見事な細工をあしらった趣深いガラス戸。柔らかな光が店内に注がれる。
「元の名前は『かねや商店』。建物とともに、名前も大事にいただきました」。目前の県道が遍路道であるため、宿泊も可能に。地域の商店は、国内外を問わず人の集まる場所になりそうです。
▲たくさんの植物と、スタイリッシュな看板が目印。
《データ》
ボタニカルショップ&ステイTHEKANEYA(カネヤ)
Tel.090-4786-1000
徳島市入田町笠木303
営/ショップは9:00~17:00
休/木曜
P/ 10台
●フリーWi-Fi
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おひるごはん&おさけごはん MOG食堂(モグしょくどう)/小松島市
築95年/大正14年
木の優しさが感じられるおしゃれ食堂
▲窓から見えるスプーンとフォークがキュート。
大正年からあり、米屋だったり誰かの住まいだったり、飲食店と数々の時代を経験した『食堂』の建物。以前ここは別の飲食店で、店長の山田さんはその立ち上げに携わった一人です。
▲ナチュラルカラーで落ち着く店内。子ども用の補助いすや、車いすの人でも利用しやすいバリアフリートイレなど、どんな人でも過ごしやすい工夫が◎
「作り上げてきたこの場所自体に思い入れがあります」と語る山田さんは、去年の年末に今度は経営者として、すべてを一新してスタートを切った。昼は食堂、夜は酒場になる同店には幅広い年齢層の人が訪れます。
▲14種の小鉢がずらりと並ぶ[宝木箱(たからきばこ)ランチ]。色とりどりのおかずは、宝石のよう!1,300円(税抜)。
古き時代が強く残るのは二階部分。「仕事の休憩中にこの天井を見るとすごく癒されるんです」と、山田さんの息抜きスポットでもあるそう。ひときわ目立つ大きな梁には、建てられた年月、当時の当主の名前や大工の名前が書かれています。
天井を抜いたから分かったことだそうで、目で確認できるほど鮮明に残った文字を読むと大正時代にタイムスリップした気分に。
▲夜はバーカウンターに早変わり♪さまざまなお酒が楽しめます。
《データ》
おひるごはん&おさけごはんMOG食堂(モグしょくどう)
Tel.0885-39-0855
小松島市小松島町字井利ノ口43-1
営/11:00~14:00、18:00~22:00(日曜は~14:00)
休/月曜
席/50席
P/ 5台
●フリーWi-Fi
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TheCoffeeBeans(ザ・コーヒービーンズ)/鳴門市
築86年/昭和9年の古民家
高潔な門をくぐり出会うスペシャルティコーヒー
▲門の隣は焙煎室であり、店前でもコーヒーの華やかな香りが鼻孔をくすぐる。
古建築のカフェはいろいろあるけど、門まで残っているのはそう多くはない。かつて四国の玄関口として栄えた撫養街道にあり、作家の北原白秋や中村中也が活躍した昭和9年ごろに生まれた民家。屋根のついた和の門の凛とした風格は、道行く人々の目を惹いたことでしょう。
▲店主の荒川さんはコーヒーの産地・メキシコの農園で働いたこともあり、県内でもいち早く豆の現地買い付けをしてきた。
ここをリノベーションし、コーヒー豆販売&カフェを営業する店主の荒川さんは「改修時に解体・廃材の処理など手伝うことにより、建具、畳などを捨てたらもう二度と手に入らないということを感じました。
今では手に入らない素材、技術。再生するにも職人さんがいない。何でも捨てるのでなく、再生することも大切だと思います」と語ります。
▲コーヒーはカップで440~1,100円、ポットで550~1,320円、豆売りは100g410円~。
天井の高いクラシックなムードに包まれた店内でこだわりのコーヒーを味わう時間は、なんとも幸福な余韻があるに違いない。
▲豆の名前を記すラベルは何色かあり、緑は朝に、グレーは夜飲むのがオススメだと、味わいごとに分類している。
《データ》
TheCoffeeBeans(ザ・コーヒービーンズ)
Tel.088-685-3460
鳴門市撫養町林崎北殿町57-1
営/8:00~19:00(18:30LO)
休/水曜
席/12席
P/ 6台
●カード可
ホームページ
Caféオリジン(カフェオリジン)/名西郡石井町
築およそ120年/明治中期の古民家
屋敷だけど可愛いそのギャップが良い
▲重厚感のある面構えだが、入口には木製のはしごを活用したメニュー表があり、おちゃめな一面も垣間見える。
どっしりと構えた立派な風貌。基礎には青石、天井には屋久杉が使用された築120年以上の上田邸で『オリジン』を営む中川さん。
大学生時代に直島で古民家カフェの運営をしたことがきっかけとなり、ホッとできる店を自分の手で作ってみたいと思うようになったそう。「初めてここを紹介された時は絶対持て余すと思いましたが、室内の欄間や建具を見た途端、心境が一変しました。時間が止まったかのような雰囲気で、新築には出せない個性に惚れ込んでしまいました」。
▲玄関で靴を脱いでから上がるので、まるで家におじゃましているよう。店内にはテーブル席やカウンター席もあり。
上田邸の持つ個性を最大限に活用するため、必要最小限のてこ入れだけにとどめました。古時計は再び時を刻み始め、障子の一部は飾り紙に張り替えられておめかし。壁の古いシミも青い花に書き換えました。ランチやスイーツと共に、遊び心がたっぷりと詰め込まれた店内も楽しんで♪
▲ホールケーキを1人で食べる夢が叶う[お一人様シフォンホール]は750円(税抜)。たっぷりのベリーとベリーソースが華やか。
▲表にかかる鮮やかなのれんは着物をリメイクして作ったもの。
《データ》
Caféオリジン(カフェオリジン)
Tel.090-5713-9926
名西郡石井町高原字池北227-1
営/11:00~17:00(16:30LO)
休/火曜(ほか臨休あり)
席/30席
P/ 8台
●カード可
よろずや弁財天(よろずやべんざいてん)/海部郡美波町
築およそ100年/大正後期の古民家
古さと新しさが混ざり合った和モダンデザイン
▲古民家と新店舗の二面性が見事に融合した外観。のんびり過ごしに行くのもいい
二階部分の窓や外観の古風な味わいと、一階部分のアルミサッシによる現代的なデザインが織り成す外観。一歩踏み込むと、時間が普段よりゆっくり流れているような気がする。
▲スタイリッシュながらも、木の温かさを残した椅子は背もたれ部分がユニーク。どれに座ろうか迷いそう。
ベトナムコーヒーを味わえたり、異国の雑貨を販売していたりと『よろずや弁財天』はその名の通り、なんでも取り扱うお店。北海道で生まれ育った店主の中山さんは、暖かい場所に住むのが夢だったそうだ。
▲木彫り作家でもある中山さんの作品も販売されているので、ゆっくり眺めてみて。
中山さんのお母さんが美波町出身だったこともあり、空き家状態だった親戚の家を譲り受けることに。大工として働いた経験がある中山さんは、北海道と美波町を往来し約100年かけて築年超えの古民家を自らの手でリノベーション。きれいに残っていた大きなケヤキの大黒柱はそのまま残し、今でも店を支えている。古さと新しさと異国の空気が混ざる、不思議な場所だ。
▲フィルターからゆっくりと抽出される[ベトナムコーヒー]は、ベトナムから直輸入の完熟アラビカ種バター焙煎。500円。
《データ》
よろずや弁財天(よろずやべんざいてん)
Tel.090-5954-3974
海部郡美波町奥河内字寺前88-3
営/9:00~17:00
休/木曜
席/20席
P/ 1台
●フリーWi-Fi
※この記事は、2020年GEEN4月号で掲載した内容です。