2021/12/27 18:46
まっつん
【街ネタ/ルドルフどうぶつ病院(徳島市佐古一番町)】ワンちゃんも冬場は関節が痛くなる? 小型犬に多い膝蓋骨内包脱臼って?
めっきり冷え込むことが増えてきた今日この頃。
日々の寒さもこたえますが、寒くなると頭を悩ませるのが身体の不調です。
急な気温の変化で体内の自律神経のバランスが狂ったり、乾燥によって鼻や喉の粘膜をいため、細菌やウイルスにおかされやすくなったりということもあるようです。
そして、この時期になるとつらいのが関節痛!
「毎年寒くなると、関節が痛くなる」という人も多いのではないでしょうか?
実はそれ、人だけでなかったんです!
「ワンちゃんも寒くなると関節が痛くなることがあるんですよ」
ケンケンをしたり、よく後ろ足を伸ばしたりしていたら、危険を知らせるサイン
今回お話をお伺いしたのは『ルドルフどうぶつ病院』の田處(たどころ)先生。
避妊去勢手術から整形外科手術、健康診断まで幅広く対応。特に整形外科疾患の治療には力を入れており、打撲や捻挫など軽度な症状の対応からインプラントなど大がかりな手術もワンストップでこなしています。
それでは、先生にインタビューしてみたいと思います。
まっつん
ワンちゃんにも冬場関節痛が多いというのは本当ですか?
田處先生
はい、そうですね。ワンちゃんも冬場に関節痛の症状が出やすくなる傾向にあります。これは血管が収縮して血行が悪くなることによって筋肉がこわばり、関節炎の症状が進行しやすくなるからです。そしてその関節炎ですが、実はもっと大きな病気の異常を知らせるサインの一つだったりもするんです!それが膝蓋骨内方脱臼(しつがいこつないほうだっきゅう)です。
まっつん
膝蓋骨内方脱臼? あまり聞いたことがない名前ですね。でも、脱臼ということは骨が外れてずれてしまっている状態ということですよね。
田處先生
膝蓋骨というのは、一般的に「膝のお皿の骨」と呼ばれる部分で、人にも同じものがあります。膝蓋骨の役割は、膝の動きを滑らかにすること。膝の曲げ伸ばしの運動には大腿四頭筋や太ももの後ろにあるハムストリングという筋肉の働きが必要不可欠なのですが、膝蓋骨が滑車のような役割を担い、膝の曲げ伸ばし運動を効率良く行うためにサポートしています。
田處先生
本来は大腿骨の滑車溝(かっしゃこう)という溝に収まっているのですが、ここから外れてしまうことがあり、内側に外れるものが膝蓋骨内方脱臼、外側に外れるものが膝蓋骨外方脱臼と呼ばれ、特に膝蓋骨内方脱臼は小型犬(トイプードル、チワワ、ヨークシャーテリア)や柴犬に多いです。先にお話したように寒くなると関節炎の痛みを感じやすくなるので発見例が増え、当院でも12月に入ってから2週間ですでに3例の手術を行っています。
田處先生
模型であらわすとこんな状態です。
まっつん
どのような症状が見られるのですか?
田處先生
症状は4つのグレードに分かれていて初期の段階では見た目にもほとんど変化が見られません。そこから症状が進行すると立ち上がり時によく肢を伸ばすようになったり、ケンケンしながら歩くようになったりします。さらに症状が重くなると痛みで足をつかないようになることも。しかし、小さい頃から脱臼をしていると、痛みを感じにくくなる場合もあるようです。そのまま放置しておくと、どんどん歩行が困難になることはもちろん、靭帯を痛め最悪の場合は断裂してしまうこともあります。
まっつん
そもそもの原因は?
田處先生
大腿骨の滑車溝が浅かったり、靭帯の異常であったりといったような先天的な要因と、外傷などが要因の後天的なものがありますが、前者の方が多く見られます。
気になる治療方法! そして早期発見に必要なこと!
まっつん
どのように治療するんですか?
田處先生
外科手術で膝蓋骨を元の位置に戻すのですが、このとき脱臼しにくくなるように大腿骨の滑車溝の下の骨を切り取っておき、できたスペースに膝蓋骨をおさめます。膝蓋骨と接地する部分にはクッションの役割や関節の動きを滑らかにする硝子軟骨(しょうしなんこつ)と呼ばれる軟骨があるのですが、この部分はそのまま残して、その下になる軟骨下骨を掘り下げて人工的に溝を深くするイメージです。また、小さい頃から脱臼していると、膝蓋骨だけでなく膝関節を構成する腱にも異常が生じます。その場合は膝蓋骨と脛(すね)の骨を結ぶ膝蓋腱の付着部を外側に移動させて正常に位置を保ち内側に脱臼させにくくします。
まっつん
術後の経過は?
田處先生
当院では術後1週間は入院、その後1週間は自宅で安静にしてもらっていますが、その後は特に異常が見られなければ、いつもどおりお散歩したり、遊んでもらったりしてもかまいません。人と一緒で元の生活に戻るためにはリハビリが大事なんです!
まっつん
予防方法や早期発見方法はありますか?
田處先生
後天的な要因の脱臼は外傷によるものなので、ケガをしないようにリスク管理を徹底するといった対策ができますが、先天的な要因の脱臼は症状が進行してからでないと発見しづらいので、病院で定期健診を受けることが安心につながるかと思います。病気を患ったり、異常を感じなかったとしても1年に1回。誕生月健診が覚えやすくておすすめですね
まっつん
なるほど、やはり日々の健康チェックが大切なんですね!
田處先生
そうですね。このほかにもペットと暮らしていくうえで知って得する情報をホームページで紹介していますので、ぜひそちらもチェックしてみてください。
まっつん
それにしても人とワンちゃんの身体の構造でこんなに似ている部分があったなんて驚きです! さっきの模型見てたら僕が昔骨折した骨と同じものがワンちゃんにもありました。
田處先生
えっ、そのときに話、ぜひ詳しく聞かせてくださいよ。レントゲン写真とか残ってないんですか??
なぜかこのあと、僕の骨折トークでしばらく盛り上がったのですが、それはまた別のお話で。
ルドルフどうぶつ病院
- 住所/ 徳島市北佐古一番町 4-17
- 電話/088-679-8930
- 営業時間/9:00~12:30、16:00~19:30
- 定休日/水曜、日曜午後
- 駐車場/7台