2021/10/28 08:42
まっつん
【講演会レポート】「若者の支援について考える~トータルメンタルヘルスの視点から~」
2021年9月11日(土)に「令和3年度 徳島県自殺予防講演会」がオンラインで開催されました。
新型コロナウイルスの感染拡大による将来や進学の不安やコミュニケーションの希薄化もあってか、全国における若者の自殺者数は2020年から増加傾向にあります。
これ以上深刻化させないために、大切な命を守るために、周囲の人たちが若者にどう寄り添い・支援につなげられるか。
利用者本位のメンタルヘルスの推進と心のケアの充実を目指すNPO法人『マインドファースト』の島津理事長の話を聞き、私たちにできることを考えました。
心のトラブルや不調は誰にでも起こりうる
講演の冒頭で、「メンタルヘルスの問題は特別な人の特別な状態の問題ではありません」と話す島津理事長。人の状態は必ずしも「病気と健康」、「正常と異常」というようにキレイに2つに分けることは不可能です。時には当事者にしかわからない嫌な思いや苦痛を感じるときもあるでしょう。そういったとき人はそれぞれの事情のなかで傷つき、心が弱くなったり、不安定な状態になったり、いわば不健康な状態になってしまいます。
そこから病気になってしまう場合もありますが、回復して一過性の不調で終わることもあります。
人が心を病むのは、体が病気になるのと同じで誰にでもおこりえること
それぞれの事情を持った人たちが、その時期を乗り切って自分たちの地域でイキイキ暮らせる手助けを考える必要があります。
若者(思春期~青年期)の発達課題が、心の不調のきっかけになることも
人は生まれてから生涯を終えるまでにさまざまなステージが存在し、健全で幸福な暮らしを実現するために発達段階でクリアしておかなければならない課題が存在するそうです。
思春期~青年期の重要なキーとなるのがアイデンティティ(自分らしさ)の確立。この頃になると自分が客観視できるようになります。皆さんも他人と自分を比べて自分が劣るように感じたり、変に思われているのではないかと気になったりしたことはありませんか? そういった時期に思い通りにいかない現実に直面し、自尊心が傷ついてしまったら…。「それも自分らしさ」と上手に折り合いがつけられれば、受け止められるようになるのですが、すべての人がそうではありません。
このほか性機能の発達の個人差、性への関心と劣等感などによっても心理的な孤立や劣等感を招きやすい年頃でもあるようです。
新型コロナウイルスがもたらしたもの
ソーシャルディスタンスに、咳エチケット、手洗い習慣、ステイホーム。すっかり定着したwithコロナ時代の新しい生活様式ですが、これによって個人的な関係が阻害され、「親密」が感じられないという弊害が生まれていると言います。また、これまで当たり前にできていたことができなくなりコロナ疲れやコロナ鬱(うつ)といった状態になったり、感染に対する不安や恐怖が偏見や差別を生んだりすることも問題になっているとのことです。
私たちにできる4つの大切なこと
このようにさまざまな問題に直面している若者たち。
では、どうすれば彼らの力になることができるのでしょうか?
大事なのは心と心の距離を親密に保ち、それぞれの問題や苦しみを理解して、心の健康状態の向上を目指し行動を起こすこと。
まさに、トータルメンタルヘルスの考え方です。
そのために重要の要素は全部で4つ。
●気づく
●聴く
●かかわる
●つなげる
です!
心の問題は難しいことが多く、相談される側も驚いたり、不安になってしまったりすることもあると思います。しかし、だからといって、そのままにしても状況はきっと良くなりません。
もしもそのような事態に遭遇したら、今日紹介した4つのことを思い出し、適切な支援につなげましょう。
「ほかの人には黙っていてほしい」「大人には内緒にしてほしい」と言われた場合でも危険な状態だと感じたら、「一緒に信頼できる大人を探さない?」「こういう風に話を打ち出せばいいんじゃない」と、あなたが交渉人となってサポートしてあげるといいでしょう。
心や体の不調で悩んでいる人がいたら
「少しお話してみませんか?」
●徳島県精神保健福祉センターtel.088-602-8911
※相談時間:平日9:00~16:00
●チャイルドライン(18歳まで) tel.0120-99-7777
お問い合わせ
徳島県保健福祉政策課
tel.088-621-2179