2023/05/30 17:57
しばやん
【インタビュー】二度目の本屋大賞受賞!今、最も求められている話題の作家・凪良ゆう
本屋さんで働く書店員さんの投票によって選ばれる「本屋大賞」。2023年の大賞に選ばれたのは瀬戸内の島を舞台に心に孤独を抱えた二人の男女の愛を描いた物語『汝、星のごとく』。作者の凪良ゆうさんは2020年の『流浪の月』に続き、今回が二度目の本屋大賞受賞となった、注目作家のひとりだ。
5月27日には『平惣徳島店』にて受賞記念サイン会が行われ、県内はもちろん、愛媛や高知など各地から読者が来場。10代から70代まで幅広い世代から支持を集めており、凪良さんを前に感情があふれて涙する人も。
生きづらさを抱える人々の繊細な感情描写が読む人の心を震わせる、そんな、今最も求められている作家・凪良ゆうさんにお話を伺った。
作家・凪良ゆうさんインタビュー
―二度目の受賞となった本屋大賞ですが、どのような思いですか?
うれしいです。『流浪の月』はコロナの最初の年で表彰式にも参加できず、選んでいただいた書店員のみなさんに直接言葉を伝えられなかったので、今年は制限のない表彰式が行われて、前回の分までお礼や喜びを伝えることができました。
―サイン会で気持ちがあふれて泣いてしまう読者の方も少なくないようですが、それほど人の心を震わせる物語はどのように生み出されているのですか?
読者の方が泣きながら一生懸命に言葉を伝えてくれるのが本当にありがたいし、うれしいです。「人生が救われた」「人生の支えです」「宝物になった」と言ってもらえて。小説を書くときは最初に自分の内側を整理して書いています。でもふと自分でも意識していないことが文章に出ることもあって、あとで読み返したときに自分でもいいこと書いてるなって思うこともあって。思ってもない自分の考えを発見できることは小説を書いていてよかったと思います。
―『汝、星のごとく』ですが、作品を通して最も伝えたかったことは何ですか?
自分の意思で人生を選んで生きるということ。世の中に平凡な人は一人もいないんです。その人にはその人だけのドラマがあって、自分自身を生きている。だからこそ、自由に自分の生き方を見つけてほしいです。
―作品の中でご自身に一番近い登場人物は誰ですか?
誰かひとり、というよりもいろいろな人が少しずつ「凪良ゆう」です。
―感情をとても丁寧に描かれていますが、凪良さんは普段から人の感情を読み取るのが得意なのでしょうか?
いいえ、人と対面で話したりコミュニケーションをとるのは苦手な方だと思います。普段は全然家から出ませんし。最近は仕事で外に出て人と会う機会も増えましたが、それまでは外で人と会うのは月に2,3回くらい。自分の感情もままならないので。人の気持ちを読み取るのと言葉で外に出すのは違いますね。
―小説を書き始めたきっかけは?
子どものころに漫画家を目指していて、でも投稿作品に添えられた温かく厳しいメッセージに心が折れてしまったんです。それから20年以上経って、好きな作品を元に何かを書きたいと思って、漫画はブランクがあったけど、日本語なら書けると思って小説を書き始めました。
―凪良さんの作品には「他人から理解されにくい人たち」が登場しますが、凪良さんの中で「まわりからは理解されにくいけど自分が好きなこと」ってありますか?
外に出ないことですね。周りからはもっと外に出たほうがいいと言われるんですが、家にいるのが好きだし、困ったこともないので、家の中がいちばん生きやすいです。小説を書くのが好きなので、家でずっと小説を書いています。家にいるときは仕事をするか家事をしているか。人に頼まれてやる家事は好きじゃないけど、自分が好きなようにする家事は好きなので。あとはほんとに仕事にまつわることをしています。好きなことを仕事にしているので逃げられなくてすごく苦しい部分もあるんですが、好きだからこそ書き続けられています。今は『汝、星のごとく』のスピンオフを執筆中です。
徳島には今回で二度目の来県。「徳島ラーメンがおいしかった! 海鮮が好きなので、海鮮料理も食べたい」と話してくれた。
PROFILE
凪良ゆう(なぎらゆう)
滋賀県出身。小説家。2007年に作家デビュー。2020年に「流浪の月」で本屋大賞を受賞。代表作にBL作品「美しい彼」シリーズなど多数。
汝、星のごとく
汝、星のごとく/凪良ゆう/講談社
1,760円