2023/07/07 10:00
まっつん
【注目連紹介2023】COOL(イケてる!)×阿波おどり/舞女流華(まじょるか)連/淡路島の阿波おどり文化を伝承 変幻自在のパフォーマンスに拍手喝采
コロナ禍が明けて、いよいよ本来のカタチの『阿波おどり』が帰ってくる!
本番の阿波おどりを120%満喫してもらうために、今年の「徳島市の阿波おどり」のテーマ「LOVE&COOL」にかけて
あわわのアプリ編集部がピックアップした愛される連、イケてる連を紹介。
その魅力を深掘りします。
淡路島の阿波おどり文化は、お迎えや送り出しの催しとして花開く
徳島県民の独自の文化としてイメージの強い阿波おどりだが、実は海を挟んだ淡路島でも古くから親しまれており、独自の発展を遂げている。
「江戸幕府が倒れるまでは淡路島は阿波藩やったからな、徳島の文化が広まるのは当然の流れで、阿波おどりの歴史も徳島とほとんど変わらないんよ」と洲本市に拠点を置く舞女流華連の富本連長。
かつては町内ごとにたくさんの連があり、特に冠婚葬祭にはかかせない催しとして大人から子どもまでたくさんの人たちが踊っていたそう。
そのように阿波おどりが広まったのには歴史が大きく関係している。
蜂須賀家政が阿波藩を統治していた時代、淡路島南部で大きな地震が発生。壊滅的な被害を受けた地域も少なくなく、程なくして蜂須賀家政自らが視察・励ましに訪れることになったそう。
当時の領民は「こんなときだが、せっかく家政さまがいらっしゃるのに、何も歓迎できないのはよくない」と頭を捻らせ、絞りだしたのが体ひとつでできる“お迎えの阿波おどり”だったと言われている。
この歓迎が“由良のぞめき”として人づてで広まり、淡路島で阿波おどりといえばお迎えや送り出しの定番となった。
淡路島独自の事情で文化存続の危機!? 立ち上がった 舞女流華連
演舞場をはじめとする流し踊りを得意とする連が徳島では多いが、そういった背景から淡路島の連はステージでのパフォーマンスを主な活躍の場としている。
最盛期は月間60~70公演をこなす連がざらにあるほどだったそうで、衣裳来て次の会場に急いで向かう連員と街で遭遇するのが珍しい光景ではなかったそう。
そんな淡路島の阿波おどり文化だが、実は危機も訪れている。
「淡路島には大学がなく、進学で島内を離れる若者が多くなったんです。もちろん故郷に戻って阿波おどりを続けてくれる子もいるのですが、県外で就職・結婚する子もいますから。たくさんあった町ごとの連も時代とともに少なくなってしまったんです」。
そんな大変な時期に、再び淡路島を大地震が襲う。
平成7年1月17日5時46分、阪神淡路大震災だ。
もちろん踊りどころではなくなってしまったが、「このままでは阿波おどり文化が潰えてしまう」「被害を受け暗い気持ちになっている人たちを何とか励ましたい」と有志で立ち上がったのが舞女流華連のはじまりだった。
淡路島の阿波おどり文化を未来へつなぐ伝承者として
人数がどうしても限られてしまうので、各連員が選任ではなくいくつものパートを担当。
女踊りの踊り手があるときは男踊りにまわったり、法被おどりをしたり。
淡路島の阿波おどり独自の演出、淡路人形浄瑠璃の人形踊りやコミカルな奴凧踊り
鳴り物も基本複数演奏できて、踊り手に欠員がでたら踊りにまわる。
いつどんな状況になっても、助け合って阿波おどりを踊れるように工夫している。
また、淡路人形浄瑠璃の人形踊りやコミカルな奴凧踊りは、お客さんを喜ばせるパフォーマンス性を重視する淡路島の阿波おどり文化を語るうえで欠かせない見せ場で、練習にも熱が入る。
「奴凧踊りは徳島の連でも取り入れているところがあるけど、ルーツは淡路島。20年くらい前に徳島の連が熱心に勉強に来てくれて、逆輸入のかたちで広まっていったんよ」。
こちらは取材日に行われていた練習風景。引き手のコミカルな表情と独特な動き、操られるように凧に扮した踊り手が続くが、自由奔放に飛び交う一幕もあり、その掛け合いは見事の一言。
宙を舞っているときは引き手が踊り手の動きに合わせ、地についたときは引き手の手の動きに合わせ踊り手が動く。
激しい動きが多く踊り手は体力を消耗するが、そんなときは引き手がコミカルな表情で時間を作る。
顔の表情、一つひとつの動き、どれが欠けても凧を操って飛ばしているように見えないので、息継ぎのタイミングを見つけるのも大変なんだそう。
構成のなかでも一二を争う複雑さだが即興の要素も多く、何連にもなって飛ばせるのは一握りだ。
「ステージの広さ、用意された時間、どんな状況にも対応して、パフォーマンスを披露できるのが私たちの連の強み。いろいろな場所に顔出して、阿波おどりに触れる機会を減らさないこと。「淡路島の踊りってカッコいい」「やってみたい」と、観る人の記憶に残る踊りを披露するのが目標で、それが文化の伝承につながると信じています」と富本連長。
もうまもなく結成から30周年を迎え、連長・副連長を中心に還元の阿波おどりお披露目の場をこれから考えていくとか。
こうご期待!
ちなみに、連名の「舞女流華(まじょるか)」は、連長が同名のジャズバーを経営しているところから。
「民謡もジャズやからな。内輪ではジャズの演奏に合わせて阿波おどりも踊ることなんかもあるんよ」。
ぜひそちらもみせてもらいたい。