2023/09/07 18:00
まっつん
【スポーツ・インタビュー/FC徳島】徳島から2つ目のJリーグクラブを 仕事×サッカー! 選手たちの挑戦
サッカー・J2の『徳島ヴォルティス』がリーグ残留に向けて、熱い戦いを繰り広げている今日この頃。
同じ徳島を本拠地に活動するクラブが、アマチュアの国内最上位リーグ・日本フットボールリーグ(JFL)への昇格とその先のJリーグへの参戦を目指し戦っています。
そんな彼らの名は『FC徳島』。
社会人とサッカー選手! 二足のわらじを履きながらチームとしても個人としても夢を追いかける若者を取材しました。
『FC徳島』とは?
2003年に『セレステ』として発足。2006年に徳島県リーグ1部、2013年に四国サッカーリーグへそれぞれ昇格。
2017年に運営法人として『FC徳島スポーツクラブ』が設立され、2018年から現在のクラブ名に!
2021年から吉野川市を拠点に活動し、昨年はリーグ優勝を成し遂げ、天皇杯にも8年連続で徳島県の代表として出場しています。
才能ある若手を多く獲得し、チームとしてのカテゴリー昇格はもちろん、個人でも昇格を果たせるように後押し。
そのおかげもあってか、8クラブで争う四国サッカーリーグ内で現在首位!
このままの順位を維持できれば、JFL昇格をかけて争われる全国地域サッカーチャンピオンズリーグに出場できます。
所属している選手はすべてアマチュア選手で、社会人として企業勤めをしながらプレーに励んでいます。
『FC徳島』の場合、平日4日+土曜の合計週5日練習があり、日曜は試合が組まれていることが多いそうです。
練習は朝8時~10時までの2時間で、それが終わると着替えて各自職場へ移動。
限られた時間しか練習ができないので、集合時間よりも早めに到着し、体を動かしてすぐトップコンディションが引き出せるように努力も惜しみません。
なぜ自分を追い込み、サッカーを続けているのかというと、プロ選手になるためです!
高校・大学卒業後にプロ契約を勝ち取れる人やユースからトップチームへ個人昇格できる人は、プレー人口のほんの一握り。
また、一度プロ契約を勝ち取った選手でも、思うような結果を残すことができず、アマチュアから再スタートを切る場合もあります。
最近では『川崎フロンターレ』のFW遠野選手や『サガン鳥栖』のDF原田選手らがアマチュアからプロ契約を勝ち取りJリーガーとして活躍している例がありますが、こちらも前者と変わらず狭き門。
個人としてスキルアップやアピールをすることはもちろん、クラブじたいが強くなることで可能性が広がっていくので、ハードな日常を物ともせず、気持ちを一つに頑張り続けているのです。
【インタビュー】南野 心選手
お話を伺ってみました!
まず一人目は、MF南野 心選手です。
南野選手は徳島出身で、高校卒業後に『環太平洋大学』へ進学。4年間大学でサッカーに励み、卒業後に『FC徳島』へ加入しました。チームではボランチの役割を担い、攻守の要として活躍。ちなみにお姉さんはプロサッカー選手で、日本女子のトップリーグでプレーしています。
Q.『FC徳島』でのプレーを選んだきっかけは?
自分の力不足もあると思うのですが、大学でサッカーをしていたころちょうどコロナ禍で、思うように活動やプレーができず、プロ契約を勝ち取ることができませんでした。合同セレクションで当時の『FC徳島』の監督に声をかけてもらい、消化不良だったところもあったので徳島に戻ることを決意しました。
Q.チーム内ではどんな役割を担っていますか?
ボランチなので仲間に的確なパスを届けることですかね。『FC徳島』はボール保持を狙いながら、両サイドから攻撃をしかけるチームなので、自分がいかに攻撃のスイッチをいれるかや後ろから声をかけるかが重要になると思っています。
Q.職場での南野さんの役割は?
今お世話になっている『美摩病院』さんでは、患者さまの食事介助や入浴介助など、身の回りの生活のサポートをさせていただいています。3年間働かせてもらっているのですが、先輩たちと比べると自分はまだまだで、もっと患者さまのお役に立てるように頑張りたいと思っています。できることを増やしたいです!
Q.サッカーと仕事の両立については、どう感じている?
正直自由な時間は凄く少ないですが、それだけの覚悟を持って地域リーグでのプレーやプロ選手になる夢を追い続けることを選びました。また、僕の夢を応援して遅めの出勤を認めてくれている病院関係者の皆さまのためにも中途半端なことはできません。体力的に大変な部分はありますが、自分のしたことに対して患者さまから「ありがとう」と声をかけてもらえるだけで、すごく元気がもらえます!
お昼に昼食の配膳をする南野さん。
病院の方にお話しを伺うと、南野さんは非常にまじめで、どんな仕事も直向きに取り組み、病院のスタッフたちが応援したくなるような人とのこと。
また、『美摩病院』は『FC徳島』を吉野川市へ誘致する段階から応援を続けていて、毎年チームから多くの選手に職場を提供しているそうです。
【インタビュー】高畠淳也選手
続いてお話を伺ったのは、SB高畠淳也選手です。
高畠選手も出身は徳島で、大学卒業後から地域リーグでプレー。『FC徳島』で活躍してJFLのチームに個人昇格も経験。今年から再び徳島で再スタートを切ることになりました。
両サイドアタックを軸にするチームにとって、高畠選手の攻撃参加はまさに戦術の肝。練習中もスペースに目掛けスプリントしたり、切り込んでクロスに持ち込んだりするシーンが見られました。
Q.再び『FC徳島』での活動を選んだきっかけは?
個人昇格のきっかけをいただき1年間JFLでプレーできたのですが、そのタイミングで実は引退を考えていました。今後の進退について迷っていたときに、今クラブの社外取締役をしていただいている方に誘っていただいて、過去にもお世話になっていたので恩返しの気持ちも込めて再出発してみようと決めました。今は再びJリーガーになる夢とクラブの昇格を全力で追いかけています。
Q.今のチームでのプレースタイルについて
昨年JFLでプレーしたときはチーム事情もあってボランチをやっていたのですが、こっちに来て本職のSBに戻りました。サイドアタックを戦術に盛り込んでいるので、僕のポジションは運動量を求められます。「自分が走らないと!」という責任感はありますが、同時にやりがいを感じています。
Q.普段はどのようなお仕事をされていますか?
企業主導型保育施設『ステラプリスクール徳島』さんで、未就学児の保育や小学生の子どもたちの学童のお世話をさせてもらっています。お昼からは先生です。子どもたちを寝かしつけたり、親御さんが迎えにくるまで遊んだりしています。
Q.子どもたちは高畠さんがサッカーをしていることは知っているのですか?
小さい子はまだわからない子が多いですね。一度サプライズでサッカー教室の講師としてユニフォームを着て登場したことがあるのですが、みんな僕=高畠先生と結びつかなくて、まわりの先生が「高畠先生だよ!」って声をかけたらすごくびっくりしていました。
Q.この仕事のやりがいは?
元々子どもが好きだったのですが、働かせてもらえるようになってもっと好きになりました。朝練習もありますし、元気な子どもたちのお世話は身体的に楽ではありませんが、触れ合うことでたくさんのパワーをもらっています。また、自分は受け入れてもらっている立場なので、その感謝を忘れずにまず仕事で貢献し、チームでも活躍することで恩返しがしたいなと思っています。
一緒に勤務する先生に高畠先生のお話を伺うと、優しいまなざしと笑顔で大人気。子どもたちの方から積極的にコミュニケーションを取りに行っている姿を見て才能を感じているそう。
また、本人は否定していましたが、小さい子どもたちを寝かしつける達人でもあるようです。
9月10日(日)の試合を皮切りに連続してホームゲームを開催!
四国サッカーリーグもいよいよ後半戦がスタート。
『FC徳島』は9月10日(日)の 『llamas高知』戦を皮切りに4試合連続でホーム戦を戦うことが決まっています。
連戦の初戦となる9月10日(日)の試合は、『ワークスタッフ陸上競技場(徳島市陸上競技場)』を舞台に、正午12時キックオフ!
観戦無料です!
また、この日は親子サッカー教室や所属選手が勤務している『スウェーデン歯科』の先生を招いての歯のお話、絵本作家・原田剛さんによる読み聞かせ、バルーンパフォーマーRAIさんのパフォーマンスや地元ダンスクラブのダンス、元Jリーガーで現在はピン芸人で活動する近藤岳登さんによる生実況など、様々なイベントが企画されています。
この機会に、親子で応援にかけつけてみませんか?
がむしゃらにボールを追いかける選手の姿は、子どもたちが目標に向かって頑張るきっかけになるかもしれませんよ!
詳しくはこちら▼