2023/11/11 10:00
しばやん
【子育てサークル活動中!】徳島リトルベビーサークルままのて|小さく生まれた赤ちゃんと家族の居場所づくり
『徳島リトルベビーサークルままのて』は、2,500グラム未満で生まれた赤ちゃんやNICU・GCUに入院・卒業した子どもたちとその家族のためのサークル。
女性の身体や心への影響が大きい妊娠・出産は、喜びやうれしさと同じくらい不安やとまどいも多いもの。予期せぬ早産や発育遅延によって小さな赤ちゃんを出産した家族にとって、不安や心配がより大きなものになることは想像に難くない。
そんな気持ちを少しでも軽くして「同じ思いの人とフラットに妊娠出産や子育てについて話せる場所を作りたい」とリトルベビー家族の当事者である安藝佐和香さんが立ち上げた『ままのて』が今年1月から活動をスタートした。
妊娠32週・748グラムで我が子を出産
安藝佐和香さんと娘の沙紡(さほ)ちゃん(4歳)。
安藝さんは妊娠32週の早産で沙紡(さほ)ちゃんを出産。子宮内胎児発育遅延で約1カ月の管理入院ののち出産になり、出産時の赤ちゃんの体重はわずか748グラムだった。同じ週数の胎児と比べても半分ほどの大きさで「この子は生きていけるのだろうか」と不安でいっぱいだったという。
「助産師として働いていたので早産の知識はありましたが、知っていることと、実際に経験することは別物でした」と安藝さん。
入院中の沙紡ちゃん。
「早産といってもいろいろな背景があり、赤ちゃんの経過も一人ひとり違います。首すわり、寝返り、お座り、言葉など成長の一個一個がプレッシャーでした」。
沙紡ちゃんは順調に体重が増え、誕生から約2カ月後に2,450グラムで退院。当時、病院で定期的に実施されていた、小さく生まれた子どもと家族の交流会に初めて参加したときに同じような経験をした家族と話ができて、不安や心配が多い産後の中で一番楽しい時間だったという。しかしコロナ禍になり交流会の開催も見送りに。
「交流会は自分だけじゃないんだなと気持ちを共有できるほっとできる場所でした。NICUやGCUは長期入院になることも多く、搾乳して届けたり、毎日面会に行ったり、リトルベビーならではの妊娠出産・子育てのことをフラットに聞いてもらえて、必要な場だなと思いました」。
小さく生まれた赤ちゃんと家族のための場を作る『ままのて』
沙紡ちゃんの出生時の体重と同じ重さのくまさん。北海道のリトルベビーママの手づくりだそう。
安藝さんは出産後、助産師の仕事からは一度離れたものの「母子に関わる仕事がしたい」と保健師の道へ。生まれてすぐに入院治療が必要な赤ちゃんの手続き業務などに携わり、NICU家族会のことやリトルベビーサークルが全国各地にあるけれど、まだ徳島県にはないことを知ったそう。
そんなとき、助産師時代の先輩から徳島県でリトルベビーサークルを立ち上げてくれる人を探しているという連絡が。全国のリトルベビーの支援活動を行っている『国際母子手帳委員会』事務局長の板東あけみさんを紹介してもらい、今年1月にサークルを立ち上げた。
全国にリトルベビーハンドブックが誕生!
安藝さんの母子手帳。実際に生まれた日ではなく、出産予定日を基準にした修正月齢で成長を記してある。
リトルベビーハンドブックとは、小さく生まれた赤ちゃんのための記録手帳。通常の母子手帳では体重を記録するところがなかったり、修正月齢で数えるため成長記録も記入しずらかったりといった部分を、リトルベビーの家族が使いやすいように、その地域に住む当事者家族や小児科の先生の意見などを取り入れて作成されている。徳島県ではまだ発行されていないが、リトルベビーの家族や関係者からの声が県へと届きつつある。
交流会を開催中
『ままのて』ではオンライン(Zoom)や対面での交流会を開催しているほか、インスタグラムでリトルベビーに関する情報発信を行っている。
「リトルベビーのご家族とゆるやかにつながって、お話したり、情報共有をしたり、退院後の辛いときの不安を少しでも和らげられる場所になればいいと思っています。参加しなくても『ままのて』があるということが、リトルベビーのご家族の支えになればいいですね」と安藝さん。
『ままのて』の由来は、NICUで入院中、まだ小さすぎて抱っこができないときに手のひらで包むように赤ちゃんに触れるホールディングというケアから。サークルの対象は、出生体重2,500グラム未満や早産、NICU・GCUの入院経験等があるお子さんとその家族。活動内容や交流会のお知らせはインスタグラムで発信しているのでチェックしてみてね。