インタビューあわわ
2020/08/11 14:42
あわわ編集部

「徳島の今を語る」~わたしの好きな徳島まとめ③~

昭和の風情が色濃く残り、なんとも艶めかしい空気が漂う裏路地酒場。ネオンが光り輝く夜の歓楽街のメイン通り…の一本裏にある“ 茶柱通り” が今回の主役。20 代から裏路地酒場に魅せられ、以後30 年以上通い続ける石井さんの裏路地デビューの原点だ。「昔は今以上に怪しげな雰囲気を醸し出していてね、未知の世界そのもの。飲んだ勢いでふらっと小料理屋の『まわり道』に迷い込んだのがきっかけでした」。よく注意しながら歩かないと、見逃してまいそうなほど狭い茶柱通り。通りに並ぶ看板の光と扉から漏れてくるお客さんの笑い声は、まるで手招きしているかのよう。「時代は変われど、この風景は変わらない。タイムスリップしたかのようこの空気感が好きなんです」と石井さん。もう一つの魅力が「その場での出会い」だそう。裏路地に構える店はウンター席がメイン。席をゆずるなどで声をかけやすかったり、女将さんが間を取り持ってくれたりするため、初対面でも打ち解けやすいのだ。今宵の茶柱通りもお客さんとおかみさんの陽気な笑い声が響いているはず。


数ある阿波おどり連の中でも、屈指の連員数と知名度を誇る有名連・娯茶平。総勢380 名を取りまとめるのが連長の岡さんだ。「岡とは小・中学校の同級生で、もう70 年来の友人なんです。近所の空き地(現在の徳島市一番町)でよくチャンバラをして遊んでいました」とは山口さん。岡さんは『安兵衛』や隣の『味祭』にもよく飲みに来るそう。連長になったのは38 歳のころで、もう41 年前のこと。大事にしているのは“ 連員同士の競争心を作ること”。連員にはあいさつしかしない、個別に話しかけないことで、決して誰かを特別扱いすることはしないというのが岡さんのルール。全員を平等に見るというのが、大勢を率いるリーダーにとって不可欠なことなのかもしれない。山口さんいわく、「昔から人に好かれるタイプだし、人を惹きつける力のある人。統率力に優れているし、あんなにたくさんの連員をまとめるのは岡じゃないと無理だと思うよ」。残念ながら中止が決まった今年の阿波おどりだが、2 年分の踊りたい気持ちを糧にして、来年の舞台では今まで以上に素晴らしい踊りを披露してくれるに違いない。


海を近くに感じられる『マリンピア北緑地』には、カップルが散歩していたり、海を眺めるお年寄りがいたり。筋トレができる器具や体を動かす広場があり、筋トレ動画を撮っているマッチョなお兄さんがいることも。ここは老若男女問わない憩いの場だ。沖洲は土橋さんが育った場所。小学生のころはまだ砂浜だったそうで、よく友だちと貝拾いに行っていたと話す。「成長するにつれて行かなくなって。大学時代に帰省した時、久しぶりに行ってみると整備されていて驚きました。改めて見ると、身近なところに美しい海があるんだと感動しましたね」。晴天の日は気持ちよく風が吹き抜ける絶好の散歩コース。「趣味のサイクリング」で訪れることもしばしばあるそうで、もってこいの休憩場所。気分転換にサクッと行ける徳島市内の海スポットなのだ。

シャクナゲやヒメシャガといった地域に自生する高山植物をはじめ、希少な植物を楽しむことができる『岳人の森』に、7 月の上旬になると珍しいホタルが現れる。ヒメボタルと呼ばれる、小さなフラッシュをたいているかのようなシャープな光を放つ種類で、徳島県内の管理された場所では同園だけで生息が確認されている。5 ~ 6 年前に不思議な光り方をするホタルがいることに山田さんが気づき、調べてみるとヒメボタルだったそう。当初は10 匹ほどしか確認できなかったが、現在は300 匹ほどが生息している。メスは飛べないため、繁殖エリアは歩ける範囲だけ。生息エリアは非常に狭いので希少性も高
いホタルなのだ。「静かな森の中で飛び交う光景は幻想的です」と山田さん。陸生のホタルなので、川の近くではなく森の中にいるというのもおもしろい。「一度見れば、きっと忘れられないくらい素晴らしい景色ですよ」。自然の豊かさを測る目安にもなるので、『岳人の森』の環境の良さの証でもある。ヒメボタルが姿を現すのは23 時以降なので、宿泊客・キャンプ客だけが見ることが可能だ。

《データ》
四国山岳植物園
岳人の森(がくじんのもり)
tel.088-677-1147
名西郡神山町上分中津土須峠931
●料╱オートキャンプ中学生以上1,500円・小学生
750円・小学生未満無料、宿泊3,000円~
●P╱40台
※ホタル観賞は7月上旬に『岳人の森』内の宿泊
施設に泊まるか、園内のキャンプ場利用の場合可

西崎さんが運営する『4S STAY AWAIKEDA』内のカフェバー『heso salon』では、鹿肉のローストや赤ワイン煮、スペアリブ、ガパオライスなど多彩なジビエ料理をいただくことができる。西崎さんが料理に使うジビエはすべて、猟友会が捕らえた鹿やイノシシを解体・食肉加工する東祖谷の処理施設『祖谷の地美栄』のもの。「肉の質の良さはもちろんですが、施設長の高橋さんの人柄も大好きなんですよ」と西崎さん。「今日はイノシシがあるけどいるか?」と電話がかかってくることもよくあるそうで、西崎さんいわく「とても面倒見が良くて、優しいおっちゃん」。8年前、鹿による農作物や森に自生する山菜への被害が増加し、農家さんたちが困っているのを見て「人助けになれば」と猟の免許を取得したという熱い人だ。『祖谷の地美栄』は安心安全な食肉処理施設と認められた農林水産省の“国産ジビエ認証”を受けており、技術力の高さ、徹底的な衛生管理を誇る。解体はスピードが重要で、時間がかかってしまうと生臭さが残ってしまうが、高橋さんにかかれば臭味など気にもならない。「高橋さんのところではじめてジビエを食べたんですが、固そうとか臭そうといった固定観念が吹き飛びましたね」。高橋さんはさらに技術の向上に取り組んでおり、牛肉や豚肉と同じくらい、飲食店や家庭で当たり前に食べられるようになってほしいというのが高橋さんの願いだ。


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