2024/06/25 16:45
めぐる、
徳島市福島にある『四所神社』。
このたび、島根県にある出雲大社から徳島藩に献上されたとされる「龍蛇神」が見つかったとのこと。
6月9日(日)に一般公開されました。
「蛇が住んでいる」と言い伝えが残る四所神社
四所神社がある渭東地区は江戸時代に阿波水軍の本拠地であり、船大工が大勢いた場所です。
そして、現在は「四所神社には蛇が住んでいる」という言い伝えが残っていて、その根拠は誰もわからないままだったそうです。
「煤払いの日に、奥から龍蛇神が2体出てきたんです。文献通りの物だったので、そりゃあ驚きましたよ」と話すのは、四所神社の禰宜・辻正人さん。
龍蛇神とは、出雲大社に神々が集まる旧暦の10月、稲佐の浜に降り立った神々の先導役を務める海蛇の神様です。
四所神社に龍蛇神が献上された理由とは?
今から約240年ほど前、高知県の村で疫病が流行ったそうです。
村民はどうか疫病をおさまらせてくれと、出雲大社の方角に向かって祈りを捧げました。
不思議なことに疫病はおさまり、彼らは木舟をつくってお賽銭を入れ、出雲大社に向けて川に流したのだそう。
その木舟はなんと出雲大社に無事到着しました。
おそらく、吉野川流域付近の徳島の人々が、この木舟が届くよう尽力したのではないか。
そのことが調査で分かり、賽銭が全く減らずに木舟が辿り着いたこともあって、「徳島県民はなんと心優しいのだろう」と出雲大社は感激したそうです。
徳島で布教したいと考えた出雲大社は、その許しを得るために徳島藩に龍蛇神を差し出したそうです。
そして、徳島藩に献上され、四所神社で祀ることになりました。
さらに、もう一体は、阿波水軍総大将の森甚五兵衛(もりじんごべえ)が、出雲から持ち帰り奉納した物。
藩主から納められた龍蛇神は男であり、森甚五兵衛が納めた龍蛇神は女であるそう。 「こうして夫婦が揃い、まことに不思議なことだ」 と古文書にも記述があるそうです。
140年後の今、日の目を浴びた龍蛇神
四所神社に龍蛇神が納められてからは、参勤交代で藩主が乗る御座船に龍蛇神を祀って御祈祷することになったそうです。
そして、参勤交代が廃止になった後も、龍蛇神を四所神社に末長くお祀りしてもらうことが徳島藩で決まり、臨時龍蛇神祭が行われた日が140年前の6月9日。
同じ日に、四所神社で龍蛇神を一般公開したというわけです。
今年は辰年、来年はへび年というタイミングで発見されたのも、何かお導きを感じます――。
ではなぜ、これまで発見されなかったかと言うと… 戦争や疫病などにより、言い伝えが途切れたからだといいます。
そして「蛇がすむ」という言い伝えだけ残ったのだそう。
普段は龍蛇神を見ることはできませんが、龍蛇神がモチーフのお札や絵馬が販売されています。
そのほかにも、いろいろな言い伝えが残る四所神社。
ぜひ参拝してみてくださいね。
tel.088-622-3810
住/徳島市福島2-3-40
P/有