精神科 心療内科あわわ
2024/10/07 16:07
あわわ編集部
【あわわ2024年9-10月号】徳島の病院・医療ガイド 医療トピックス/アルコール依存症

【あわわ2024年9-10月号】徳島の病院・医療ガイド 医療トピックス/アルコール依存症

アルコール依存症と聞くと、「本人の意志の弱さ」や「性格の問題」などと誤解されがちですが、医学的に認められた精神疾患です。また、適切な治療とその後の支援によって回復可能な疾患でもあります。依存症とは? その治療とは? 専門の先生にお聞きしました。


教えてくれるのは…

【あわわ2024年9-10月号】徳島の病院・医療ガイド 医療トピックス/アルコール依存症
社会医療法人あいざと会 藍里病院
医局長
井上 麻由 医師
●精神保健指定医 
●日本精神神経学会 専門医

―「依存症」とはなにか?

 「依存症」と聞くと、自分には関係ないと感じる人も多いと思います。しかし、人はなにかに“依存”しながら生きています。例えば、もうひと頑張りするためにコーヒーを飲むこと、達成感を味わうためにゲームに興じること、家族や恋人に愚痴を聞いてもらうことなど…。モノや人に自分を預けて、支えてもらって心のバランスを保ちつつ生活していることがあるはずです。このように支えてもらうモノや人をたくさん持っておくことは健康的なことですが、ひとたびそれが一点に集中してしまうと悪い依存の形成がはじまり、生活はおろか心のバランスも崩してしまいます。

①楽しみや息抜きの範囲を超えている
②自分では制御できなくなる
③明らかに生活に支障をきたしている

この3つがそろうと依存症と呼ばれる状態だと言えます。


「依存症」はこうして成立する

 依存症は、依存対象の依存性の強さとそれを使用する本人側、ふたつの要因が合わさったときに成立します。今回は私たちにとって身近な嗜好品であるアルコールを取り上げましょう。

 日本は諸外国に比べてアルコールに寛容ですが、精神依存と身体依存ともに持ち、決して軽視できない依存性薬物です。実は大麻よりも依存性が高いと言えます。

 そのアルコールを、自己肯定感が低い人、コミュニケーションが不得意で人間関係の苦悩を持つ人、緊張しやすい人、職場でのストレスや心身の病気、将来への不安など生きづらさを抱えた人が繰り返し使うようになる時、すでに美味しさや楽しみを味わうための使用ではなくなっています。アルコールが苦痛を和らげ生き辛さを取り除いてくれる特効薬となったとき、上記3つの項目を満たし依存症が成立します。また、依存行動を繰り返すことで脳の報酬系回路と呼ばれる部分の働き方も変化してしまいます。強い意志を持ちやめようと思ってもやめられない原因は脳の変化が起こっているためです。

自分には関係ないと言える人はどれくらいいるでしょうか。

依存症についての誤解

 脳の回路の変化が起きた、脳の病気ですから本人の気合いや根性だけでは治せません。また、家族は心配のあまり「突き放したら目が覚めるかも」「どん底を経験したら立ち直るのでは」と考えて本人を孤立させたり、「泣いて心配を伝えよう」「徹底的に叱ろう」など感情的に接するなど様々な方法を試しますが、これも大概うまくいきません。

 脳の回路を完全に戻すことはできませんが、支援者や家族とともに、失った健康や信頼を回復する方法を探し実行することは可能です。依存症は回復する病気なのです。

回復に向けて

 変化した脳の回路は飲酒欲求やさまざまな刺激によってスイッチが入ると止まらないようになっているため、そのスイッチを入れない工夫をしていきます。診察や認知行動療法的手法を用いたプログラムの中で飲酒が始まる引き金やパターンを振り返り、その回避法や対処法を検討し実生活で実行する。当院では週に1回依存症の勉強会を開催していますし、共に頑張る仲間に支えられる自助グループにも参加可能です。また、家族支援にも力を入れており、家族自身の生活を大事にしながら患者さんを支える方法を知るCRAFT(コミュニティ強化アプローチと家族トレーニング)というカウンセリングを受けることができます。お気軽にご相談ください。

 2018年から断酒治療だけでなく、減酒治療も正式な治療法として認められるようになりました。日本肝臓学会でも、肝機能検査のうちALT(GPT)値が30を超えた場合には原因を検索し早期治療を目指すことを発表しました。かかりつけ医でも飲酒についての相談ができる時代になりつつあります。

 依存症は誰もが罹り得る病気。依存症を正しく理解し回復を目指す人を応援し、再起を歓迎する社会であることが回復の支えのみならず予防対策にもつながります。

社会医療法人 あいざと会 藍里病院


tel. 088-694-5151 
板野郡上板町佐藤塚字東288-3                                                                     精神科、心療内科、内科、歯科

■理事長/久保一弘
■院長/元木洋介
■医師数/常勤12名、非常勤10名(2024年4月現在)
 ■病床数/228(指定病床10)床
 ■関連
施設/あいざと蔵本C、あいざと山川C、あいざと訪問看護ST、あいざと蔵本訪問看護ST、あいざと山川訪問看護ST、自立訓練事業所『すくも』、生活介護事業所『すくも』、地域活動支援センター『ことじ』、グループホーム『しょうずい』『いたの1』『いたの2』『いたの3』『かみいた1』、『さんが』、パン工房『ランベリー』


診療時間
9:00~12:30
13:30~16:30

※祝日は休診 ※歯科は月・水・金の9:00~12:00、13:00~16:00(木曜は午前中のみ)
※休日、時間外も救急診療は受付

※掲載している情報は2024年9月1日現在のものです。法改正や社会情勢の変化により、料金などが変更される場合がありますのでご了承ください。

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