宿・ホテル・旅館暮らし人物ビジネスインタビュー
2025/03/21 11:41
あわわ編集部
自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

「民泊」という言葉は、近年よく耳にするフレーズであり、特に、2018年の「民泊新法(住宅宿泊事業法)」の施行以降、顕著となっています。今では、様々なスタイルの民泊サービスが提供され、ビジネスや観光、インバウンドの方々の多様な宿泊ニーズに応えることにつながっています。そこで、徳島県では、繁忙期に宿泊施設が足りなくなっている課題の解決や、少子高齢化社会を背景に増加している空き家の有効活用といった地域活性化につなげるため、民泊施設の普及拡大に着目しました。ここでは、すでに魅力的な民泊施設を開業している先輩たちの運営スタイル、民泊の始め方や集客方法等を紹介しています。さあ、民泊、始めてみませんか。

さあ、始めよう自分にあった民泊。case④⑤⑥


【case4】お宿イレブン(吉野川市)

地域の力を借りて 人の集まる場所を作る


Keyword| 古民家再生/ 共同経営/ お遍路/ 自分達の遊び場/ 地域交流


自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

▲増田さん(中央)と他のメンバーは、増田さんがここにやってきてから知り合った仲。すんなりと地域の輪に入ることができたのは、『藤井寺』があることで地域に根付いていたお接待文化の影響かもしれません。

入念なリサーチで

問題点とニーズを事前把握


 『お宿イレブン』という名前は、すぐ近くに第十一番札所『藤井寺』があることから。
 「もともとは親類が持っていた土地を徳島市内に住む私が引き継いで、近所の人たちと雑木林を切り開いてお酒を飲んだりできる遊び場所を作ったのが始まり。その後で向かいにある家が空き家になったので買い取り、有志6人で遍路宿として経営しています」。
 中心となっている増田さんも自ら歩き遍路を2回経験しており、400軒以上の遍路宿をリサーチするなど、遍路宿が抱える問題点やニーズを徹底的に掘り下げて経営に生かしています。「一般的な住宅を活用する場合、個室にすると4部屋ぐらいしか取れないことが多い。ドミトリーだと床面積を効率的に使って泊まれる人数を増やすことができますが、客層は若い人が多くなる傾向があります」。
 遍路宿は宿泊者がいつ来るかわからない、客都合によるキャンセルが多いなど、経営としては非効率な点も覚悟する必要があると増田さんは言います。それでも旅に疲れたお遍路さんが安心して泊まれる場所を提供でき、地域の人達も交流できるなど、この場所に『お宿イレブン』があることは大きな意義を持っています。

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▲宿のベースとなった民家は築約40年。外観にはほとんど手を入れず、間取り変更などにコストをかけています。改修には県の補助制度を活用。

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▲日本人には敬遠されがちなドミトリースタイルですが、旅に慣れた外国人には抵抗なく泊まってもらえます。

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▲歩き遍路は3~5月、9~11月がハイシーズン。「お遍路さんに特化して専業で経営するのは、経済的な余裕がない若い世代には難しい」と増田さんは言います。

自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

▲宿の向かいにある土地には、地域の人が集まる遊び場所が。もちろんこの輪に宿泊者が加わって、話に花を咲かせるのも大歓迎。

民泊DATA


●民泊タイプ/簡易宿所
●運営タイプ/専業
●開所日/2024年12月
●宿泊人数/ドミトリー10名
●宿泊者の割合/

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●宿泊者の年齢/

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●宿泊料金(1泊)/4,000円
●稼働率/29%
●年間宿泊者数/約1,000人
●1組あたり平均宿泊数/1日
●集客方法/お遍路ハウス四国88
●代行サービスの利用/利用していない



オーナー増田さんのモチベーショングラフ


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最大の課題は認知度のアップ。今後は近隣で他の事業を展開しながら、民泊施設を買い取って運営を引き継いでくれる人を探していく予定。



お宿イレブン
吉野川市鴨島町飯尾1484-1
電話/080-2989-8070
mail: aquahenro@gmail.com

▶HP

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【case5】ADLIV(美馬市)


Keyword| 社屋利用/ 業種拡大/ 観光拠点/ 異業種交流/ コミュニティスペース


チャレンジを実らせた 「泊まれる印刷工場」


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▲本来の業務は2階のオフィスで継続し、残りの部分は民泊として機能。オープン当初の日曜日にはここでマルシェも開催し、地域のコミュニティ強化にも一役買っていました。

時代の変化に合わせた

新たな社屋活用法


 美馬市脇町の広告会社『ナカガワ・アド』が運営している『アドリブ』は、もともと印刷工場として利用されていたスペースでした。ペーパーレスの普及や広告手段の変化、そして必要に迫られた定期的な設備更新に向き合った時、「同じ投資なら時代の流れに合ったものを」との考えが生まれたそうです。印刷機や加工機などは一部を残して廃棄。空いたスペースで地域コミュニティの場を作るという、まったく新しい活用方法が動き出した瞬間です。
 ここでは様々な分野から講師を迎えてスキルアップを図る[アドリブ大學]などが開催され、遠方から訪れる参加者や観光客の利便性を考慮する形で簡易宿泊所も併設。今では企業合宿やスポーツクラブの保護者にイベント会場として利用されたりと、狙いどおりに盛んなコミュニティの場となっています。
 「泊まれる印刷工場」、そんな聞くだけでワクワクするような珍しい取り組みだけに注目度も高く、変わった場所に泊まりたいという人だけでなく他県からの視察も多く訪れ、同じような悩みを持つ企業にとって新しい可能性を示す場所となっています。

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▲洋室は落ち着いた色合いのアジアンテイスト。

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▲ドミトリーはMDF合板を見せるワイルドな仕上げに。

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▲実際の印刷に使っていた機材も一部が残されており、活版やガリ版、孔版印刷などを体験することも可能。

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▲もと印刷工場だった面影が、今も随所に残されています。

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▲広いスペースだけに、大勢が集まっての親睦会などにも最適。

自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

▲うだつの街並みに近く、観光の拠点としても魅力的なロケーション。

民泊DATA


●民泊タイプ/簡易宿所
●運営タイプ/副業
●開所日/ 2018年6月
●宿泊人数/ 最大9名(ドミトリー7名・洋室1名・和室1名)
●宿泊者の割合/

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●宿泊者の年齢/

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●宿泊料金(1泊)/4,500円~5,800円
●稼働率/15%
●年間宿泊者数/約350人
●1組あたり平均宿泊数/1日
●集客方法/Booking.com、Airbnb、じゃらん、楽天トラベル、Yahoo!トラベル、施設の公式SNSアカウントで発信
●代行サービスの利用/利用していない



担当 篠原さんのモチベーショングラフ


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コロナ禍以降も新しい活用方法を実践し、モチベーションは安定。今後はOTA(後のページで解説)が増えることでの集客アップにも期待を寄せています。



ADLIV(アドリブ)
美馬市脇町大字猪尻字若宮南131-2
電話/0883-52-1643
mail: adliv@adjapan.jp

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【case6】Vacation house 月 yue(徳島市)

ありのままの暮らしを 旅の記憶にできる宿


Keyword| 徳島市街地/ 移住経験/ 一棟貸し/ 実家活用/ 伝統文化


自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

▲2階にある寝室は、畳とベッドを組み合わせた和モダンな雰囲気。南向きの窓からは踏み台を使ってベランダにも出られます。

外国で受けた優しさを

日本で誰かに渡すために


  オーナーの井坂さんが民泊に目を向けたのは、自身がご主人の仕事の関係で暮らした台湾での経験から。「現地の語学学校で、アジアから集まった学生たちにたくさん助けてもらったんです。涙が出るくらいうれしくて、『この子たちのママになりたい』とさえ思うほどでした。50歳で日本に戻ってからは逆に来日する外国人のために私にできることを考え、浮かんだのが民泊でした」。
 建物はご主人の実家を活用。大がかりな間取り変更などはせず、徳島の街で地域住民と同じ目線で暮らせるのが特徴です。「大切にしているのは、“泊まる”のではなく“暮らすように過ごせる”こと。だからお客さんの国の食材を揃えておいて一緒に料理したり、自転車で周辺を散策してもらったりといった体験を大切に考えています。もちろん日本や徳島の文化を楽しんでもらえるように、お茶会や和三盆作り、藍染なども希望に合わせて手配します。民泊を始める時は娘に背中を押してもらって、今も多くの人の協力があるから続けていられることを、毎日実感しています」。

自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

▲長期滞在の外国人も多く、飽きることがないよう予約時に日本文化の体験プランも提案。

自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

▲日本らしさを感じてもらえるよう、トラディショナルな和室の雰囲気をそのまま生かしています。

自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

▲手入れの行き届いた庭は、造園業者に依頼。

自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

▲寝室のデスクには古いミシン台を流用。

自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

▲自分で街を散策して気に入った店を探す。旅程管理士の資格を持つ井坂さんは、そんな体験も大切に考えています。

民泊DATA


●民泊タイプ/簡易宿所
●運営タイプ/専業
●開所日/2014年4月
●宿泊人数/最大4名(和室2名・シングルベッド2名)
●宿泊者の割合/

自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

●宿泊者の年齢/

自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~

●宿泊料金(1泊)/1泊11,000円※期間により変動
●稼働率/70%
●年間宿泊者数/ー
●1組あたり平均宿泊数/2日
●集客方法/Airbnb、agoda、楽天トラベル、Booking.com、STAY JAPAN、Rakuten Oyado、Vrbo、インスタグラム等のSNSの広告
●代行サービスの利用/室内清掃



オーナー 井坂さんのモチベーショングラフ


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ゲストとの関係を楽しむことで開始時から高く保ってきたモチベーションも、コロナ禍では少しダウン。今後は自分のペースで経営を楽しんでいくとのこと。


Vacation house 月 yue(ユエ)
徳島市中前川町5-1-213
電話/090-9627-4801
mail: isakairbnb@gmail.com

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