2025/03/21 11:41
あわわ編集部

自分にあった民泊の始め方。とくしま民泊STYLE~それぞれのストーリー~
「民泊」という言葉は、近年よく耳にするフレーズであり、特に、2018年の「民泊新法(住宅宿泊事業法)」の施行以降、顕著となっています。今では、様々なスタイルの民泊サービスが提供され、ビジネスや観光、インバウンドの方々の多様な宿泊ニーズに応えることにつながっています。そこで、徳島県では、繁忙期に宿泊施設が足りなくなっている課題の解決や、少子高齢化社会を背景に増加している空き家の有効活用といった地域活性化につなげるため、民泊施設の普及拡大に着目しました。ここでは、すでに魅力的な民泊施設を開業している先輩たちの運営スタイル、民泊の始め方や集客方法等を紹介しています。さあ、民泊、始めてみませんか。
さあ、始めよう自分にあった民泊。case⑦⑧
【case7】壱 THE HOSTEL(美波町)
旅行者や地域との交流を DIYで作り出す
Keyword| 移住/ 古民家再生/ DIY/ 地域との共存/ パブ

▲手作りのキッチンカウンターを中心に、宿泊者たちが交流を深めるリビングダイニング。鉄筋コンクリートの天井をあらわしにして、背の高い外国人でも圧迫感なく過ごせるよう配慮されています。
移住者だから気づけた
日和佐の魅力
見慣れた景色とは違う環境を求め、これまで15カ国を旅した経験を持つオーナーの和田さん。縁あって日和佐に移住した際、故郷の和歌山とはまったく違う風景に「外国はこんな近くにもあった」と衝撃を受けたそうです。
商店街の一角にある築70年以上の古民家を借り受け、友人と2人のDIYで民泊に適した内装へとリフォーム。当初から外国人の利用を見込んでいたため、建具の大きさは身長170㎝以上の人でも使いやすいよう心がけて設計されており、そのことが周囲にあるホテルや民宿との差別化になることで、満室時には他の宿泊施設ともお客さんを融通しあう良好な関係を築けています。
また、納屋だった場所には、カナダに住んだ時期に働いたことがあるというパブを設置。周辺にバーなどが少ない環境からここには地元の人も通ってくるようになり、日和佐の夜のにぎやかさにも華を添えています。

▲インターネットを参考に、デザイン性高く仕上げた個室。

▲共有スペースの壁を使って写真を配置したギャラリー。

▲周辺環境と居心地の良さに、2週間から1ヵ月という長期滞在をする人も多いとか。

▲パブのカウンターは、「若い人を応援したい」と、相生地区の業者が格安で譲ってくれたケヤキの一枚もの。

▲築古の物件のため、貸主の許可を得てフロアは下地からやり直して全館を板張りに。
民泊DATA
●民泊タイプ/簡易宿所
●運営タイプ/専業
●開所日/2019年8月
●宿泊人数/最大15名(MIXEDドミトリー6名・FEMALEドミトリー4名・個室3名・個室2名)
●宿泊者の割合/

●宿泊者の年齢/

●宿泊料金(1泊)/ドミトリー 3,500円~、個室 5,000円~
●稼働率/50%
●年間宿泊者数/約2,500人
●1組あたり平均宿泊数/1.3日
●集客方法/Airbnb、Booking.com、施設の公式SNSアカウントで発信
●代行サービスの利用/利用していない
オーナー 和田さんのモチベーショングラフ


DIYで進めた改装が予想外に大変だったことと、コロナ禍で大きくモチベーションダウン。しかしその期間の努力が報われることで回復しています。
壱 THE HOSTEL(イチ ザ ホステル)
海部郡美波町奥河内字寺前114-8
電話/070-4412-5317
mail: welcome@ichithehostel.com

【case8】ReN2(徳島市)
Keyword| 徳島市中心地/ 既存施設活用/ 設計事務所/ 180日型/ 独自性
旅人が求めるのは 「ここにしかない」魅力

▲昼間はミーティングなどに使用するスペースを、夜は宿泊者に開放。「人は24時間働けないけど、建物にはそれができる」という中野さんの言葉が印象的でした。
建築事務所に泊まるという
唯一無二の体験を提供
180日型の民泊は、簡易宿泊所よりも設備面の負担が少ないのが魅力。徳島市内で建築事務所を営む中野さんは、事務所内の一角を180日型の民泊として活用しています。
民泊を始めた理由を聞くと、「自分が行くのもいいけど、よそから来てもらうのもいい」と、旅行好きな中野さんらしい理由が返ってきました。もともとこの建物を設計する時点で、将来使い方に変化があった際のフレキシブルな対応力を持たせているため、最小限の整備で民泊としての機能を整えることができたといいます。
「日本の中でわざわざ徳島を旅先に選ぶような、良い意味で少し変わっている人たちにとっては、『建築事務所に泊まる』という変化球もひとつの魅力としてちゃんとミットに収まっている。そういった魅力を持たせることが、民泊にとっては何よりも大切だと思います」。
旅慣れた宿泊者の目線で想像すれば、重要なのは過度な設備よりも独自性や立地の優位性。民泊だからできる、ホテルとは違った施設づくりと宿泊者へのアプローチ方法を気付かせてくれる事例でした。

▲すっきりしたデザインと立体的な空間活用が特徴的なこの建物は、事務所・住居・民泊と3つの機能を併せ持っています。

▲宿泊スペースはスキップフロアで4人を収容。

▲宿泊者からは、向かいの事務所で仕事をする中野さんの姿が。「仕事場と共存していることをあらかじめ伝え、それに納得してくれる客層にフィルタリングできるので問題ありません」。
民泊DATA
●民泊タイプ/180日ルール(家主同居)
●運営タイプ/副業
●開所日/2018年6月
●宿泊人数/最大4名
●宿泊者の割合/

●宿泊者の年齢/

●宿泊料金(1泊)/10,000円
●稼働率/35%
●年間宿泊者数/約300人
●1組あたり平均宿泊数/1.8日
●集客方法/Airbnb、その他
●代行サービスの利用/利用していない
オーナー 中野さんのモチベーショングラフ


ゲストからの評価やコロナ禍など、外的要因から多少の影響を受けつつも、基本的にモチベーションは高いレベルで推移しています。
ReN2(レンツー)
徳島市出来島本町1-12
電話/088-626-0819
mail: info@dekijima.com