2022/01/17 14:46
しげさん
『イケてる! 農業者さん数珠つなぎ』第7回 徳島有機ファーム 三栖谷 耕一さん 驚きの農法『BLOF理論』ってなに?
イケてる! 農業者さん数珠つなぎも今回で7回目となるわけなんですが、あいかわらず今開催中の徳島フェアの反響がすごいです。みなさんもうご覧・ご利用いただけましたか?
奥ゆかしい徳島が自己主張するとハンパないですね。
2022年2月28日(月)までフェアを開催していますので、これを機会にぜひご購入、お知り合いに紹介くださいね!
さて、話は変わって我が『しげファーム』は相変わらず、モグラに縦横無尽に掘られています…。めっちゃ掘られています。
そして前回、モグラと鳥のコンビネーション技でソラマメの種を食べられていたと書きましたが、どうもそれは鳥への冤罪だったようです……。
ソラマメの種を植え直したあとに寒さ対策も兼ねて上から不織布をベタ掛けしてたんです。
不織布ってこんなのです。
不織布を破らない限り、鳥が種を食べることはできませんよね。
なのに! なのにですよ!?
ちゃんと発芽したかなぁと不織布をめくってみたら種がないんですよ…。
で、種を植えた箇所に指を入れてみたら、前回よろしくゴボッ!っと陥没! モグラの作った穴を通ってネズミが作物かじったりするそうなので、どうやらネズミが地面の中から種を引っ張りこんで食べているようです。
『しげファーム』来年のソラマメ収穫の夢は消えました…。
山盛りのソラマメを塩ゆでにして、ビール飲みたかったなぁ(泣)
野菜の種類も知らない素人が有機野菜生産者になれた件
はい、ベタな“転生もの”のラノベみたいなキャッチですが、今回紹介するイケてる! 農業者さんの三栖谷さん。現在は、ほうれん草、チンゲン菜、ルッコラ、わさび菜、春菊などの葉物系野菜を中心に年間通じて栽培し、いずれも有機JAS認証を取得している生産者さんです。
が、なんと就農するまでは「“小松菜”という名前の野菜があることも知らないほど、野菜について興味がなかった」というんです。そんなことを聞いても、今の三栖谷さんの野菜づくりの技術を知っている人は誰も信じないのではないでしょうか。
三栖谷さんが就農したのは2009年、父親が農地を購入したのがきっかけでした。
農業を始めると言っても何から準備して、何をすればいいのかも全くわからない…。そんなとき、知り合いから紹介された講演で知ったのが、BLOF理論(Bio LOgical Farming:生態系調和型農業理論)というわけなんです。
『BLOF理論』それは今までの常識を覆す理論
BLOF理論とは自然生態系の法則を理解することで、植物が健康に育つために必要となる適切な土づくりを行い、植物の生き様を学び、植物それぞれに備わっている能力を最大限に発揮できるように環境を整え、栄養価の高い農産物を安定生産することができる農業理論です。
通常、有機栽培を行うための土壌改良は、数年かかると言われていますが、BLOF理論ではその期間を短縮し、適切な環境が構築できるというから驚きですね!
実際、BLOF理論に基づいて土づくりを行っている圃場を見学させていただいたんですが、すごいんです。
なにが?
土が!
まず、歩いたときに足の裏から感じる土の反発力。土が押し返してくるんですよ。わかりますか? この感覚。足が沈まないということは硬い土なの? と思うかもしれませんが、違います。ためしに支柱を突き刺してみるとズブズブと何十㎝もどんどん地面に刺さっていきます。
土を手に取りギュッ!っと握れば固まりますが力を加えるとホロホロになる。団粒構造が形成されているんでしょうね。団粒構造とは“いい土”と言われる土の要素で、土に適度な隙間があり通気性と水はけがよく、有機微生物の生育しやすい土の状態のこと。野菜の生産に適した土というわけです。
こんな土を作り、維持することってなかなかに大変なんですが、それを行うことができるのがBLOF理論なんですね。そのBLOF理論を実践する難しさなどについて尋ねると「この農法しか知らないから、他とくらべて簡単なのか難しいのか、わかんないね」と笑顔で三栖谷さん。
この農法が有機JASの規定内だったから結果的に認証を申請したそうです。
BLOF理論のメリットはほかにもあります。
まず、作られる野菜は栄養価が高く、味も良いんです。「健康な野菜はこんなにもおいしいのか」と実感できるはず!
さらに、土壌の分解が健全に行われるので、連作障害が起きないそうなんです。
連作障害とは、簡単に言うと、同じ畑で同じ科の野菜を作り続けると、病気の蔓延や害虫の発生などが起こり、収量も減少すること。土壌の有機物などの分解が完全でないことが原因となるそうなんですが、普通は完全に分解することって大変なんですよ。
マジですごく大変!
なので、一般的には同じ科の作物を育てないように植える場所をローテーションしていくことが定説となっています。
しかし!
BLOF理論では、土壌分解を促進、良質な土づくりが行われます。
そのおかげで、一つの圃場で同じ科の野菜の栽培が可能で、土づくりの期間を合わせても年間で6回転という驚異的な高循環を実現できるんです。
もともとの土壌の状態に関係なくBLOF理論を正しく用いれば、農地はこの結果を得られるというのだから、「この土地は肥沃な土壌に恵まれ…」みたいな、この地域は農地として優れていたことを示唆するフレーズを書きたいライター泣かせな理論ですね。
徳島有機ファーム 三栖谷さんの今後の挑戦とは
三栖谷さんの今後の農業への挑戦は、教育。
自身が学び実践した農法を次代を担う若い就農者に教えたいのだとそうです。
そして、若い世代が学び、巣立ち、独立してグループとして生産や出荷を行えるような仲間が増えることを夢見ています。
それは、日本だけにとどまらず、海外での生産や育成も視野に。『徳島有機ファーム』の未来は大きく広がりを見せています。
三栖谷さんの挑戦はこれからも続く!
徳島有機ファーム
徳島市国府町花園149
TEL.088-677-9115