2020/02/09 16:31
あわわ編集部
《まとめ》徳島で出会える!こだわりの手作りスイーツ③5選
雑貨店や産直市、イベント会場など、専門店以外の場所でふと、手作り感があふれる素朴だけど目に止まるお菓子に出会うことってありませんか?
それは、シンプルな焼き菓子だったり、プレーンなケーキだったり。埋もれてしまいそうなほど素朴なもの。だけど「工場で大量生産してます!」という感じで綺麗にパッケージングされたお菓子ばかり見慣れているせいか、ふと他と違う佇まいに惹かれるんですよね。
ふと口にしてみると甘さはほんのりで、素材の良さを感じるお菓子。一口一口大事に食べたくなる。どこかほっとするようなやさしい味わいにまた帰ってきたくなる。そんな暮らしに寄り添ったお菓子。
店舗は持たないけれど、知る人ぞ知るのとっておきの愛されお菓子。そんなお菓子の作り手を訪ねてみました。作り手のこだわりを知ると、選びたくなる気持ちが増すはずですよ♪
※掲載の価格は12月中旬のものです。価格は変動することがありますので、ご了承ください。
※予約販売ができる場合、大量に注文は早めのご相談を。
実森ラボラトリーの焼き菓子
日々、食べてほしい自家栽培小麦を使ったおやつ
[パウンドケーキ]
▲[パウンドケーキ]は1カット280円。チョコレートや抹茶小豆など、その時によっていろいろ登場。※すべて税抜、『道の駅みまの里』での販売価格
◇◆お菓子の作り手◆◇
お菓子を手がけるのは、米と小麦を作る農家の旦那さんをサポートしていた竹中直美さん。元々パン作りが趣味だったため、自家栽培した小麦を使ってパンを作り始めた。そのうちにその小麦でビスコッティも作り始め、『道の駅みまの里』で販売することになったという。
菓子製造許可をとったのは19年10月。「小麦粉自体も販売しているのですが、そのおいしさを伝えるツールとしてもお菓子を手がけています」とのこと。
▲お菓子販売との兼業農家である竹中さん。冷凍のピザ生地の開発も手がけている。
さらにすごいのは、使用する卵も自家製なこと。お菓子を作ると決めてからニワトリを放し飼いすることにして、産み立ての新鮮な卵をたっぷりと使用しています。自然に産み落とすのを待ってお菓子を作るため大量生産には適さないけれど、安心な素材を使っているという点ではピカイチです!
▲[ビスコッティ]は4本入りで480円。「にし阿波」のおすすめ物産・千年のかくれんぼ認証商品だ。
◇◆実森ラボラトリーのお菓子◆◇
新商品のパウンドケーキには自家製小麦・卵のほか、バターもぜいたくに投入。一口で広がる小麦の甘い香り、キメの細かいしっとり食感。卵の風味もイキイキと感じられるおだやかな甘味。親しい人に「食べてみて!」と差し出したくなる一品です。
「目指すのは親が納得して買い与えられる”子どもたちのおやつ”」と話す竹中さん。現在はマフィンとスコーンの試作を繰り返している最中で、これからさらに新しいお菓子がお目見えし、もっと多くの人に親しまれることでしょう♪
▲クッキーは1袋で260円。きなこ・チョコなど種類はいろいろ。
実森ラボラトリー
☆主な販売場所/『道の駅みまの里』
☆イベント出店/直近はなし
美馬市美馬町字願勝寺72
●予約販売/メールで連絡、受取場所は要相談※オンラインショップ有
●お菓子一例/フィナンシエ1個140円、シフォンケーキ1カット230円~、グラノーラ1袋380円※すべて税抜、『道の駅みまの里』での販売価格
●Facebookは「実森ラボラトリー株式会社」で検索
●問/mimori.laboratory@gmail.com
ほのぼの工房の和菓子
理想のもちもち感は完璧なチューニングから
[よもぎ][モチナンバ]
▲[よもぎ]、[モチナンバ]ともに素材は美郷産にこだわる。繁盛記のお盆には1日1,000個ものオーダーが入るという。一つ90円。
◇◆お菓子の作り手◆◇
「田舎団子」とは、ハレの日や仏壇にお供えするモノを指し、当時は砂糖や小豆といった甘味は高級品だったため非常に喜ばれたそう。
今ではめっきり見かけなくなったし、おやつとして食す事も減ってしまったと思うのですが、愛嬌たっぷりのマダムユニット『ほのぼの工房』が手がけるそれは、地元から徐々に火が付きはじめ、徳島市内でのイベント出店に加え県外へのお土産品としても愛され始めているとのこと!
▲現在は、楮山信子さん(右)と後藤由美子さん二人で活動。
実際、取材前に食べておこうと販売所の『美郷物産館』に午前11時30分ごろに電話をかけて在庫を確認したのだが、すでに売り切れ…。さらに「前日に予約した方が良いですよ」とのアドバイスだけをいただくほど。
写真は通常サイズだが「とくしまマルシェ」出店時には、一人でも食べきれるよう小さなサイズで販売するなど、美郷のマダムはホスピタリティーも抜かりない。
▲底面には片栗粉ではなく、きな粉を塗布している。もちろん一つひとつ手包だ。
◇◆ほのぼの工房のお菓子◆◇
食べ始めると手が止まらない理由は二つ。一つは完璧な甘さ。ささやかに感じられる程度に抑えられ、北海道産小豆の風味が明確に感じられるほど穏やかです。そこへ底に塗布したきな粉の香りがやってくると甘味がさらに上品に進化する二段式。
二つ目は食感。「皮が硬そう」というイメージがありましたが、ほのかな弾力を残しながらも理想のもちもち感を演出。
▲昔ながらのあられも人気。野菜を練りこんだ[ヘルシーあられ](250円)は野菜嫌いの子どもたちに。地元の薬草研究会からスタート。[あられ]は300円。
夏と冬で粉の配分を変えるといったベテランによるチューニングは、一口目でこれまでの印象を払拭してくれる(とはいえ、どうしても冬は硬くなってしまうことはある。そんな時はオーブントースターで焦げ目をつけるぐらいまで火を入れると良いそう)。緑は[よもぎ]。ピンクは[モチナンバ]。
ほのぼの工房
☆主な販売場所/『美郷物産館』
☆イベント出店/直近はなし
吉野川市美郷字峠463-3
●予約販売/電話で連絡、受取場所は『美郷物産館』、『ほのぼの工房(吉野川市美郷字宮倉60-2)』
●問/0883-43-2708
sweetstudioやぶはなのお菓子
いちご農家が丹精込めて育てたいちごが主役
[いちごのロールケーキ]
▲丹精込めて育てたいちごが主役の[いちごのロールケーキ](3カット380円)。中につまったいちごがしっかり感じられる。
◇◆お菓子の作り手◆◇
本業は海陽町のいちご農家で、自慢のいちごを20年心を込めて育ててきた。華代子さんがいちごを使ったお菓子作りをするようになったのは、いちご農家の道を歩み始めてから5年経った時。当時、いちご狩りに来ていたお客さんの「アイスクリームが食べたい」という一言がきっかけとのこと。
「昔からお菓子作りが好きで。お客さんが望むなら、うちのいちごを使ったアイスクリームを作りたいなと思ったんです」。[いちご農家が作ったいちご]という商品から始まり、今では20種類以上のアイスクリームや、ケーキなども手がけています。
▲毎週金曜が仕込み日。その日の工房は、焼きあがったケーキの香りでいっぱいになる。
◇◆sweetstudioやぶはなのお菓子◆◇
その中でも『やぶはな』の看板娘は[いちごのロールケーキ]。まるまるとした、自慢の大きないちごがたっぷりゴロゴロと入っていて、どこから食べてもいちごにかぶりついているようだ。育てているいちごは、甘さと酸味のバランスが良いとされる[さちのか]。
「育ての親である自分たちが安心して食べられるように」というこだわりから、作物の病気予防も農薬ではなく、納豆と水を混ぜた自家製のスプレーを使用しているという。少し甘めのホイップクリームと、いちごの甘酸っぱさとのハーモニーが見事に調和したロールケーキです。これからシーズンを迎える、主役のいちごを口いっぱいにほおばって♪
▲濃厚で、ぎゅっとつまった[ベイクドチーズケーキ](1カット170円)は食べ応え抜群!
▲おやつタイムに、甘すぎない[ガトーショコラ](1カット150円)とコーヒーを。
sweetstudioやぶはな
☆主な販売場所/『道の駅日和佐』『道の駅宍喰温泉』
☆イベント出店/直近はなし
海部郡美波町奥河内寺前493-6
海部郡海陽町久保板取219−6
●予約販売/3日前までに電話で連絡、受取場所は要相談
●お菓子一例/アイスクリーム各種200円~、かぼちゃケーキ150円
●問/0884-73-0889
http://TEL:0884-73-0889
菓子工房プレズィールの焼き菓子
シンプルで、万人に愛される味を目指して
[ブラウニー]
▲[ブラウニー]は180円。自家製の梅酒は甘さ控えめ
◇◆お菓子の作り手◆◇
”Plaisir(プレズィール)”とは、楽しみや喜びを意味するフランス語。「その名の通り、”見て楽しんで、食べて喜んでほしい”がコンセプトです」とお菓子を作っている仁木島さん。小さいころからお菓子作りが大好きで、調理師専門学校で洋菓子を学んだ後にプレズィールとして活動を開始。
お菓子を作っているときの仁木島さんはとても楽しそうで、可愛らしい笑顔が印象的。お菓子には地元である神山町の食材を使用。すだちやゆず、梅などを取り入れていて、少しずつメニューを増やしてきたそうです。
▲「どのお菓子も、見た目のかわいらしさに気を配っています」と仁木島さん。
◇◆菓子工房プレズィールのお菓子◆◇
人気メニューの一つ、ブラウニーには神山の梅を使った自家製の梅酒をプラス。「意外かもしれませんが、梅とチョコレートは相性がいいんですよ」と仁木島さん。おっしゃる通り、ほんのり香る梅酒がチョコレートの甘さを引き立ててくれる。さらに梅酒を入れることでしっとりするそうで、より濃厚に仕上げられています。
またクッキーはいくつか種類があり、どれも万人に愛されるような素朴な味わいです。写真のチョコチップクッキーは全卵を使うことでパリッとした食感になり、食べやすい小ぶりなサイズが可愛い。
イベントへの出店はしていませんが、神山の道の駅にはたくさんの種類が置かれているので、ぜひ立ち寄って迷ってくださいね。
▲[チョコチップクッキー](250円)。飽きのこない味なので、いくらでも食べられそう。
菓子工房プレズィール
☆主な販売場所/『道の駅温泉の里神山』『阿波食ミュージアム』
☆イベント出店/なし
名西郡神山町神領西上角151-1
名西郡石井町高原中須154
●予約販売/なし
●お菓子一例/メレンゲクッキー(すだち・梅酒)150円、すたちマドレーヌ150円、スノーボール230円
●問/080-1996-5475
出しです。
山本美希さんのお菓子
海陽町の大らかなムードをお菓子で味わう
[寒茶のマカロン][藍実とすだちのグラノーラ]
▲手前は[寒茶のマカロン]で2個で160円。奥の[藍実とすだちのグラノーラ]は1袋260円で、藍で染めた布でくくるパッケージもかわいい。
◇◆お菓子の作り手◆◇
徳島県の最南端・海陽町というと、温暖な気候と美しい海、サーフィンを楽しむ人が大勢いたりと悠々とした印象を抱く人が多いのではないでしょうか。そのイメージそのままのお菓子を作る女性が地域おこし協力隊として活動する山本美希さんです。
山本さんは香川県高松市の出身で、これまでもパティシエとして従事してきました。重い材料を運んだり立ちっぱなしで仕事をしたりと、ハードなパティシエの業務に心身ともに疲れていたころ、海陽町を訪れてパワーをもらったそうです。
「こんなに素敵な町があるんだと驚いて。すぐに移り住むことを決めました」と山本さん。パティシエとしての経験を生かせたらと、産直市場の加工部門を担うことになったとのこと。
▲藍畑で藍の種を摘む山本さん。妊娠中のため12月下旬から休業に入っているが、「できるだけお菓子は切らせないようにしたい」とのこと。
海陽町の農作物や特産品を使ったお菓子を開発し、宍喰温泉内産直の『すぎのこ市場』に並ぶようになると、地元の人だけでなく観光客にも大好評!ずっと海陽町に住み続けたいという山本さんは協力隊の任期が終わっても、お菓子作りは続けたいと語ります。
「お年寄りもたくさんいる地域なので、キッチンカーにお菓子を乗せ、訪問したいという夢があります。生菓子も手がけてみたいな」。これから先も、海陽町のように懐深く、のんびりとしたお菓子を生み続けてくれることに期待ですね♪
◇◆山本美希さんのお菓子◆◇
代表的なのは[寒茶のマカロン]。寒茶は海陽町の山間部で生産されていて、カフェインやタンニンをほとんど含まず、まろやかな甘味とうま味がある味わいが特徴。茶葉をパウダー状にし、生地・クリームに混ぜ込んでいます。
表面サクッと中はねっちりとした食感で、ほんのりと寒茶の風味を感じるソフトな甘さ。できるだけ有機食材を使用し、てんさい糖で作られたお菓子はやさしさで満ちています。
▲グラノーラには矢車草という青い食用花も入っていて、華やかさを感じされる一品だ。
そのほか、海陽町の藍畑で、山本さん自らが収穫した藍の種を使ったグラノーラも。藍の種は炒ってから加えていて、サクサクとこうばしい食感がクセになり、食べ終わる前に次の一粒がほしくなる…!
そのほか、金柑のパイタルトやさつまいものスイートポテトなど、季節ごとにいろいろなお菓子が登場。どれも過剰な派手さはなく、食べるとほっとするものばかりです。
山本美希
☆主な販売場所/『すぎのこ市場』
☆イベント出店/なし
海部郡海陽町久保字板取219-6
●予約販売/電話で連絡、受取場所は『すぎのこ市場』
●Facebookは「すぎのこ市場」で検索
●問/080-6388-1831(すぎのこ市場)見出しです
※この記事は、2020年Geen1月号で掲載した内容です。