2023/07/18 17:40
roko
徳島での起業ストーリー/『ベトナムキッチン』オーナーの夢は、ベトナムの食文化を徳島に伝えること
徳島で起業を考える人の強い味方『徳島県信用保証協会』では、創業に必要な事業計画書の作成や財務会計等の経営知識などのサポートを受けることが可能です。
創業後もおもわぬ壁にぶつかることは考えられます。今回は、『徳島県信用保証協会』でサポートを受け事業を運営している企業をご紹介します。
ベトナムキッチンオーナー:山川ザンさん
ー徳島に移住したきっかけについて教えてください
妻が日本人で徳島の出身だったんです。ベトナムで出会い、結婚を機に徳島へ来ました。ベトナムの大学で日本語学科を卒業していましたし、貿易会社で通訳をしたり、旅行会社で現地ガイドをしたりしていたので、日常会話の不安はそれほどありませんでした。
通訳やガイド経験から日本のことはとても大好きでしたし、日本の人たち親切であることは良く知っていました。しかし一度も日本を訪れたことはなかったので、結婚前に「お試し移住」として3週間徳島に滞在してみたんです。
住み心地はどうなのか、徳島の気候や食べ物は自分に合うのか…。3週間の滞在の中で、徳島県内のさまざまなところに足を運びました。お試し移住を通して得た体験はとても素晴らしく、漠然と抱えていた不安要素や疑問点は解消。「この地で暮らしていける!」と確信しました。
ー徳島で起業しようと思ったのはなぜですか?
私が徳島に移住したのは2010年。その当時は徳島にベトナム料理を出している飲食店がほとんどありませんでした。そのため、移住した初めのころから「いずれは自分でベトナム料理の飲食店をやってみたい」と考えていました。
縦に長いベトナムは北部・中部・南部で料理の味が変わります。北部はあっさり系統の味つけ、中部は唐辛子が利いた辛い味つけ、南部は甘めの味つけ。
さらにベトナムでは、パクチーやバジル、ミントなどの香草や、独特の調味料を使った料理が特徴です。ベトナム人にとっては当たり前でも、日本の人たちからすると「独特な味つけ」で苦手意識を持つ人も少なくありません。
私はガイドの経験から、日本人の口に合うベトナム料理の味を学んでいたので、「“おいしい”と感じるベトナム料理を出せる」と考えていました。
しかし移住当初は交友関係が狭く、お店をするには準備が整っていませんでした。そこで、7年ほど農業関連の会社に勤務することに。飲食店への夢を胸に抱きながら、徳島で生産されている野菜のことや野菜の育て方を学びました。
店舗の横で育てている、パクチーやバジル、ベトナムミントなど。農業関連の会社で学んだ知識を存分に発揮している。
ー『徳島県信用保証協会』をどのように知ったのですか?
徳島での生活にも慣れて交友関係が広がるにつれ、「私の故郷の味を知ってほしい」という思いが強くなって起業を決意。しかし、資金調達のためのノウハウやお店作りの知識はそれほどありませんでした。
開業のための資金相談をした金融機関から『徳島県信用保証協会』を紹介してもらったんです。担当者がついてくれて、お店のコンセプトやメニューの提案、資金調達のための事業計画書の書き方を教えてくれたのは、とてもありがたかったですね。専門的な日本語表現や文章構成など、多面的にサポートしてくれました。
そして、2020年3月に『ベトナムキッチン』を東新町にオープン。ただ、その2カ月後にコロナウイルス感染症が流行し、客足が減少したのはつらかったです。苦しい時期でしたが、妻の支えや『徳島県信用保証協会』が低めの利息の制度を案内してくれたおかげで、踏ん張ってお店を続けることができました。
お店の中にはベトナムの食品がずらりと並ぶ。購入も可能!
ベトナムの赤ワインと[ルア・モイ]と呼ばれるベトナムの人気蒸留酒も。
ー2021年の9月に東新町商店街の中に移転オープンされたのですよね
そうです。この近辺で働くビジネスマンやベトナムから来た技能実習生たちが食べに来てくれますよ。ベトナム料理を食べたことのない初心者さんでも食べやすいように、ベトナム北部のあっさり味付けの料理を提供しています。
テーブルの上にベトナム特有の調味料を置いているので、それを加えて味の変化を楽しんでもらうスタイルにしました。
[にんにく酢]は、ニンニクのパンチとさっぱりした味が夏にぴったり。[チリソース]はスパイスの絶妙なバランスが利いたフレッシュな味です。[サテトム]はかなり辛いので、ほんの少しずつ入れて調整してみてくださいね。ベトナムから仕入れた、“ 現地の味 ” にハマるお客さんが続出です(笑)
「ベトナム旅行で食べたのと同じ味だ」とか「懐かしくておいしい」とか、そういうお客さんの声をダイレクトに聞けるので、お店をオープンして良かったと心から感じます。
[ブンチァチョン](1,100円)。カップに入ったつゆをたっぷりかけて。
[シーフードの炒め物](1,100円)は、アテとしてポピュラーなメニュー。ベトナムビールの[サイゴン](500円)と楽しんで。
ベトナムのご当地スイーツ[チェ―](650円)。ベトナム風の冷たいぜんざいだ。
東南アジアの定番ドリンク、[ココナッツジュース](600円)。喉を潤した後はスプーンでくりぬいてココナッツの果肉を味わおう。
奥左側から時計回りに[にんにく酢]、[チリソース]、[サテトム]。ベトナム特有の味わいに、虜になる人多数。
― 将来の展望について教えてください
コロナ禍という大きな壁もあったけれども、出会いもたくさんありましたし、乗り越えられる自信もつきました。お客さんも満足そうな顔を見ると「がんばって続けてきてよかった」と感じます。
お店をオープンしてから慣れるまでは宣伝を控えていたので、情報発信に力を入れてベトナム料理のおいしさをもっと手軽に、もっと広く伝えていきたいです。今年の夏ごろを目標に、徳島駅周辺で2号店をオープンさせられたらいいなと思っていて、『徳島県信用保証協会』のサポートを受けながらがんばっているところです。
これからは、なかなかお店に来れない方でもベトナム料理を味わってもらえるように、「ベトナム料理の冷凍食品を作ること」がもう一つの夢。共働きの夫婦を手助けでき、家庭で本格的なベトナムの味が楽しめるようにしたいんです。いつの日か、自分が手がけた冷凍食品がスーパーマーケットに並ぶのを夢見ています!
厨房の調理窓からパシャリ。交流好きなおちゃめなザンさん。
創業支援の流れ
『徳島県信用保証協会』では、次代の地域経済活性化の担い手を一人でも多く発掘することをめざして創業支援に力を入れています。県内在住者はもちろん、徳島県に移住して起業を考える人もサポートを受けることができます。
金融支援をはじめ、創業相談や創業セミナーの開催など様々な取り組みを行っています。
徳島県信用保証協会の相談窓口を利用してから、創業後のフォローまでのステップを簡単にご紹介します。
Step01.創業前相談
創業前にかかえる不安は多種多様。徳島県信用保証協会は不安や疑問を、豊富な経験と知識でサポートしてくれる。相談は無料なので些細なことでも遠慮せず相談してみて。
平日窓口 9:00~17:00/第1水曜日 17:00~19:00/第3日曜日 9:00~12:00
※行き違いになることなく、充分な相談時間を確保するため、必ず電話にて予約のうえで相談を。電話は平日 17:00 まで。
Step02.保証付き融資による金融支援
資金面をサポートする保証制度を多数用意。丁寧なヒアリングから、創業計画をブラッシュアップするので、融資条件や利用制度の組み立てなども同時に行うことができる。事業計画書完成時点で保証付き融資での資金調達も可能なので、“夢の実現”がよりスピードアップ!!
Step03.安心のフォローアップ
創業してからしばらくは、様々な不安や悩みを抱えるはず。最初の保証から3年間は『徳島県信用保証協会』の創業支援担当者が担当・対応し、新たな保証の申込や条件変更などの相談に応じてくれる。中小企業診断士や税理士、デザイナーなどの各部門の専門家とも提携しているので安心。
8月25日(金)、東京で「とくしま回帰×シゴトづくりセミナー」を開催します!
オンラインでも開催されますので、遠方にお住まいの方でも参加可能です。
徳島で起業した2名を講師として迎え、起業秘話をお話ししていただきます。質疑応答の時間も設けているので、地方での起業に興味のある方はぜひお越しください!
詳しくはこちらから
徳島県信用保証協会/創業推進課
- 住所/徳島県 徳島市南末広町 5-8-8徳島経済産業会館(KIZUNAプラザ)
- 電話/088-622-0254
- 営業時間/ 9:00~17:00
備考/第3日曜日 9:00~12:00
- 定休日/土、日、祝日
- 駐車場/有