2023/10/07 09:30
さあや
【連載】おいしいコーヒーの淹れ方/HACHIO COFFEE(ハチオコーヒー・徳島市西二軒屋町)
この春、社会人になった私は同時にコーヒーもデビュー。コーヒーを買って飲む機会が増え、ようやく自分好みの味もわかってきた。
しかし豆の挽き方やドリップの仕方などおいしい淹れ方は無知。そこで、徳島で自家焙煎し究極の一杯を目指すスペシャリスト達にお家で楽しめる淹れ方を教わった。
マスターのこだわりを知って、コーヒーをよく知らない人もコーヒーが好きな人も、おいしいコーヒーがある生活をエンジョイしませんか?
ということで今回は『HACHIO COFFEE』におじゃましてきた!
心地良い空間でやさしいコーヒーを味わう
眉山の麓の住宅街に『HACHIO COFFEE』はある。ごく普通の一軒家のような佇まいに、店舗だと知らない人は気がつかないまま通り過ぎてしまうのでは、と勝手に心配しながら扉を開いた。
それもそのはず、ここは店主・橋本さんの実家を改装したお店。玄関の土間や昭和のガラス窓を生かした居心地の良い空間が迎え入れてくれる。橋本さんがセレクトしたセンスの良い音楽も最高だ。
この場所でひとりで切り盛りする橋本さんは、徳島の焙煎所で長年経験を積んだのち2022年6月にこのお店をオープンさせた。人が集い交流が生まれ、ゆっくり楽しい時間を過ごしてほしいという想いのもと、おいしい一杯を提供している。
豆の仕入れ状況により少しの変動はあるが、今いただけるのはブレンド3種類とシングル4種類、そしてアイスコーヒーやミルクコーヒーなど。橋本さんの知り合いから仕入れる[TODAY'S SWEETS]は[塩チョコソフトクッキー]や[カヌレ]、[フィナンシェ]などが日替わりで登場。コーヒーのお供にぴったりなので試してみてほしい。
店内には3席ほどイートインスペースあり。
「衝撃を受けると思うから飲んでみて!」と淹れてくれたのは[エチオピア イルガチェフェ ハロ・ベリティ農園 G1ウォッシュド(600円)
](右)と[コスタリカ セロ・サン・ルイス・マクロミル SL-28 イエローハニー(600円)](左)。
ここでは浅煎りコーヒーはグラスに入れて提供してくれる。薄いグラスのほうが口当たりがいいほか、味に加えて色を楽しんでほしいという想いからだそう。
まずはエチオピア。おそるおそる一口飲んでみると、なんて飲みやすいんだ!私の中で一気に浅煎りに対する印象が変わった。酸味が強くすっぱいのが浅煎りというイメージが強かったけれど全然違う。例えるならばレモンティーのような味わいで飲みやすい。飲むタイミングや時間を選ばず、コーヒーが苦手な人にもおすすめできる。
続いてコスタリカ。こちらもまたインパクト強!スッキリだけど濃さもありベリーのような味わい。前者と甘味の質も違ったが、どちらもいい。さまざまな豆を飲み比べしてみるのもおもしろそうだ。
窓から見える静かな路地を眺めながらコーヒーをすする。天気のいい日も良いけれど、雨の音を聞きながらここで飲むコーヒーもまた最高なんだろうなと想像させられた。
生豆の状態はこんな感じ。
コーヒーはやっぱり奥が深い。ここにある豆は酸味の度合いがやさしいので飲みやすいのが特徴。先ほどの浅煎りコーヒーは生豆になるまでの発酵工程でより果実味が強くなるように施されたものだそう。焙煎や淹れ方だけでなく、さまざまな段階で味わいに特徴が出ていることを知った。
細部まで施されている草花の絵柄がかわいい。
豆は橋本さんの相棒、[FUJIROYAL]で自家焙煎。
どうやら焙煎機には直火式、半熱風式、熱風式という3つのタイプがあるそうだ。橋本さんによると、焙煎士によってもちろん差は出るが直火式の焙煎機では香ばしい味わいの豆に、半熱風式はオールマイティーな使い方ができ、熱風式はあっさりとした味わいの浅煎りに向いていると言う。ここではバランスの良い半熱風式を用いて焙煎しているそう。
何も知らない私に快く説明してくれる橋本さんからはロースターに対する愛を感じた。
おすすめの豆と淹れ方
今回は、酸味が苦手な人にも苦味が苦手な人にもおすすめできる中深煎りの[ブレンド ダーク ロースト]をおすすめしてくれた。
かっこいいカップに入れてくれたほどよい苦味でおいしい一杯。
ペーパーはどれも同じだと思っていたけれど、違いがありこだわっていることに驚いた。そしてドリップする前に器具を温めることも忘れずに覚えておこう。
豆情報
・ブレンド ミディアム ロースト(750円/100g)
・ブレンド ダーク ロースト(750円/100g)
・ダーク80(750円/100g)
■シングルオリジン
⚪ライトロースト
・コスタリカ セロ・サン・ルイス・マクロミル SL-28 イエローハニー(1,600円/100g)
・ケニア ナロク マーラ アナエロビックナチュラル(1,100円/100g)
・エチオピア イルガチェフェ ハロ・ベリティ農園 G1 ウォッシュド(850円/100g)
⚪ミディアムロースト
・コロンビア ウィラ ラ・ソレダ農園 ウォッシュド(850円/100g)
マスターにとってコーヒーとは
「いつも傍らにあるもの。ここに人が集まり繋がりができておもしろい場になって、そこにコーヒーがあったらいいなと思って。コーヒーが主役にならないようにやさしいコーヒーを目指しています」と柔らかい笑顔で話してくれた。
最後に。
橋本さんとの会話やお店の雰囲気を通して、もちろんコーヒーは好きだけれど、コーヒーがある空間が好きなんだということに気づいた。もしかしたらここを訪れる人みんなもそう感じているに違いない。最初に抱いた心配はよそに、ここを目掛けて人が寄り合うのも納得できた。
コーヒーは飲むときの良い環境によっておいしさがプラスされるのかな。今回もまた一つ勉強になった。
HACHIO COFFEE
- 住所/ 徳島市西二軒屋町 1-48
- 電話/088-625-3757
- 営業時間/11:00~19:00
- 定休日/金
- 駐車場/4