カフェ・喫茶店テイクアウトコーヒー
2023/11/02 09:00
さあや
【連載】おいしいコーヒーの淹れ方/可否庵(徳島市幸町)

【連載】おいしいコーヒーの淹れ方/可否庵(徳島市幸町)

この春、社会人になった私は同時にコーヒーもデビュー。コーヒーを買って飲む機会が増え、ようやく自分好みの味もわかってきた。

しかし豆の挽き方やドリップの仕方などおいしい淹れ方は無知。そこで、徳島で自家焙煎し究極の一杯を目指すスペシャリスト達にお家で楽しめる淹れ方を教わった。

マスターのこだわりを知って、コーヒーをよく知らない人もコーヒーが好きな人も、おいしいコーヒーがある生活をエンジョイしませんか?



ということで今回は『可否庵』におじゃましてきた!




豆の素材の味を生かし、スッキリと飲める一杯を


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徳島市役所の西側にある古風な雰囲気が漂う『可否庵』。
コーヒー豆のフルーティーさや旨みを消さないよう、独自の方法で自家焙煎し、軽くてあっさりとした味わいのコーヒーを提供している。

豆は20~30種類ほど取り扱っており、そのほとんどが浅煎りから中煎りのもの(もちろん深煎りコーヒーもある)。すっきりとしたコーヒーが好みな人にぜひおすすめしたい。

「毎朝飲みたくなる、何杯でも飲みたい」と思えるコーヒーに出会うことができる喫茶店だ。

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ここには近所の人や周辺の会社勤めの人などが多く集う。

コーヒーを飲みに、マスターにおしゃべりしに、フードを食べに、勉強や仕事をしに、目的はまちまちだがどの人も共通してこのお店の雰囲気が好きなのだと思う。マスターが好きで集めた古道具が並んだ空間は一昔前にタイムスリップしたかのようでしっぽり落ち着く。

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マスター・近藤さんは1980年に帰郷と同時に知り合いからこの店を任された。27歳だった当時から現在まで43年間、おいしい一杯を淹れ続けてきた。数年前からは娘夫婦と共に切り盛りしており、取材した日には娘婿の杉さんと一緒に迎えてくれた。杉さんは主に焙煎を任されているそうだ。

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店の奥にある焙煎部屋。

焙煎は豆の特徴が出やすい直火式の[FUJI ROYAL]を主に使うが、種類や量によって3台を使い分けているという。
直火式は漢字のごとく、豆に直で火があたるため加減が難しいのだが、その分豆の個性を生かすことができ、おいしく焙煎できるそう。

「ここの豆はほかよりも倍くらいの時間をかけて焙煎しているんじゃないかな。時間をかけると豆のえぐみや苦味を軽減できるので本来の味がわかりやすく飲みやすいコーヒーになるんです」と杉さんが教えてくれた。

そのためか、ここの豆はフルーティーで香り豊か。コーヒーを飲むだけでなく豆の香りをかぐのも至福のひとときだ。

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看板の文字はマスターの手書き。お洒落ですねと言うと「ところどころ綴りが間違ってるけどね(笑)」とつっこむ杉さんに笑うマスター。仲の良さが垣間見えた。

豆を選ぶ基準はと聞くと「好奇心かな」とマスター。自分が飲んでみたいと思う豆をお客さんにも提供する。コーヒーをこよなく愛するマスターの選ぶ豆は信頼できる。

「昨日も[ゲイシャ]っていう豆を買ってみたよ」とうれしそうなマスター。この豆は都内などでは一杯2000円以上ほどで売られていることもあるが、ここでは「徳島の人にもおいしいコーヒーを飲んでほしい」という想いから破格で提供している。

そんな豆のおいしい淹れ方を詳しく教えてもらった。

おいしいコーヒーの淹れ方


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浅煎りの[パナマ エスメラルダ農園(プライベートコレクション)ゲイシャ ウォッシュド]中粗挽き12g使用

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4回に分けてコーヒーをたてます。お湯の温度が高すぎると苦味が増すので90℃くらい。
1回目は蒸らしと言って豆全体にお湯を馴染ませます。30秒くらいかけてこれ以上膨らまないというところまで蒸らします。膨らんだ頂上にひび割れのようなものが出てきたら蒸らし完了のサインです。


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2回目からはお湯をどーっと入れていくんだけど、ほぼこの2回目で味が決まってしまうんです。ちょっとだけお湯の勢いを強くして円を描くようにして淹れていきます。


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3回目、4回目は必要な量が抽出できるまでお湯の量を調節します。


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ドリッパーは[ハリオ V60]を使っています。早くお湯が落ちるから、うちのような軽い味わいのコーヒーを入れたい人にはおすすめ。


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短時間でさっと落とすと軽いコーヒーに。コーヒーの雑味やえぐみを出さないように少し粗めに挽き、さっと落とす。これがうちのこだわりです。


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「他の店と飲み比べてみてくださいと自信を持って言える」と言うコーヒーを淹れてくれた。
コーヒーを飲めるようになってまだ月日が浅い私にもごくごく飲める一杯。毎朝これを飲みたい、と思わずマスターに伝えたほど。フルーティーな香りも気分を高めてくれる。

ここで入れてくれるカップは窯元につくってもらっている砥部焼だそう。お店の雰囲気と最高にマッチしている。

豆情報


・可否庵ブレンド(550円/100g)
・コスタリカブラックダイアモンド(1,000円/100g)
・ケニア(650円/100g)
・エチオピアシャキッソ(650円/100g)
・ブラジルショコラ(650円/100g)
・ドミニカ(650円/100g)


マスターにとってコーヒーとは


「世の中で一番好きなもの。でも一言で表すのは難しいなぁ」と微笑みながら語ってくれた。
「昔はコーヒーは会議や何かの付け足しとされていたけど僕はもう少し真ん中にコーヒーを持っていきたい。たくさんの人にいろんなコーヒーを試してほしいんです」と。



マスターは間違いなく、徳島のコーヒー文化を引き継いできた人の一人だ。
そんなマスターの愛するコーヒーはこれからもこの場所で愛され続けるのだろう。


可否庵

  • 住所/ 徳島市幸町 2-30
  • 電話/088-623-1481
  • 営業時間/ 7:00~19:00
    備考/土・日曜、祝日は~16:00
  • 定休日/隔週日曜
  • 駐車場/なし
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